――ああ、面倒くさい。もう何も考えたくない。
愛想笑いを浮かべて対応する気力も残っていなかった俺は、女を突っぱねた。冷たくすれば、どうせすぐにいなくなる。
でも今晩泊めてもらう家をまだ決めていなかったし、この女を上手く丸め込んで、家に上がり込むのも良かったかもしれない。
そんなことを頭の片隅で考えながら、またぼーっと虚ろな時間を過ごす。
「……ごめん。迷惑って分かってるけど、やっぱり放っておけない」
とっくに立ち去っただろうと思っていた女は、まだ目の前にいたようだ。その声は、微かに震えている。
――怖いなら、見ず知らずの俺のことなんて放っておけばいいのに。馬鹿な女だ。



