「昨日は美代さんたちがそのまま部屋に居座ったせいで、百合子さんに触れることもできなかったからね。やっと邪魔者もいなくなったことだし、独り占めさせてよ」
黒瀬くんの言う通り、昨晩は美代さんたちがアルコールを持ち込み、何故かあのまま晩酌を始めてしまった。かと思えば、二時間もしない内にそのまま寝こけてしまったのだ。
素面だった皇さんが、美代さんと萌黄さんを運ぼうとしてくれたけど、もう時間も遅かったので、二人にはそのまま部屋で寝てもらうことにした。
私は美代さんとお喋りができて楽しかったけど、酔いの回った萌黄さんに絡まれていた黒瀬くんは、すいぶんとご機嫌斜めだった。
でも、何だかんだ言いながらも、萌黄さんのことをそこまで邪険には思っていないんだろうなぁ。悪態を吐けるのも、気を許しているからこそ、だと思うんだよね。
「それに昨日も言ったけど、何があるか分からないからね。もしもの時に百合子さんを守れるように、そばに居たいんだよ」
「その気持ちは嬉しいけど……でも、そこまでくっつかなくてもいいんじゃないかな?」
やんわり反論して距離をとろうとすれば、黒瀬くんはあからさまにシュンとした顔になる。



