「あの、黒瀬くん?」
「ん? どうかした?」
「……近くないかな?」
河川敷に設置されている木製のベンチに腰を落ち着かせてから、数分。
長閑な時間に身を委ねてお喋りを楽しんでいたのだけれど、近過ぎる距離が気になってしまい、とうとう声を上げてしまった。
だって黒瀬くんってば、私の真横にぴったりくっついてくるんだもん。それはもう、紙一枚通す隙間もないくらいに、ぴったりと。
その距離のまま顔を覗き込むように見上げてくるものだから、私としては、さっきから心臓がそわそわしっ放しなのだ。
至近距離で蕩けるような笑みを向けられるこちらの身にもなってほしいし、黒瀬くんは自分の顔が良いことをもう少し自覚してほしい。
……ううん、黒瀬くんのことだから、自覚した上でやっているのかもしれないけど。



