「あぁ、それなら心配しなくても大丈夫だ。あの場にいた奴らには、きっちり落とし前を付けさせたからな。それに引退してはいるが、先代は筋の通った人でな。今回の件はそっちにもきっちり報告済みだから、暫くは下手な真似もできねーだろ」
だけど、続けられた皇さんの言葉で、張り詰めた空気が弛んだ。
「まあ、どっちみち俺が全員みなごろ……昨日の記憶がなくなる程度まで再起不能にしようとは思ってたから、百合子さんが狙われるなんて事態は、まず有り得ないけどね」
「……黒瀬くん?」
「百合子さん、すごい顔になってる。もちろん冗談だよ」
――今、皆殺しって言いかけてたよね? そんな無邪気な顔で笑っても騙されないからね? 全っ然、冗談に聞こえなかったんだけど。
「皇さんが言うなら心配ないだろうけど……やっぱり心配だから、百合子さんは当分、俺から片時も離れないでね」
「え?」
「食事中も出かける時も、もちろん、お風呂も寝る時もずっとね。……あ、そういうわけだから、当分そっちの仕事は、俺に入れないでね」
そっちの仕事――つまり、皇さんから依頼を受けてのお仕事ってことだろう。というか、お風呂とか寝る時とか、聞き捨てならない単語が聞こえた気がしたんだけど、これは突っ込んでも良いのかな……?



