逃げられるものならお好きにどうぞ。



「というかさ、アイツらはどうなったわけ? もちろん、ちゃんと後片付け(・・・・)はしてくれたんだよね?」



黒瀬くんが、いつもの調子で皇さんに尋ねる。



「ああ、巻き込んじまった手前、軽くだが説明しておくが……嬢ちゃんを攫ったのは、葛木組っつってな。先々代の時から親交があったんだが、現組頭は違法薬物の売買で組の資金を集めてやがった。最近は人身売買なんかにも手を付けようとしてやがったから、ちぃっとばかし口出しさせてもらったんだが……どうやらそれが気に食わなかったらしい」

「へぇ、余所のシマの事情に首突っ込むなんて、皇さんにしては珍しいね」

「あっちから上手い話があるって持ち掛けてきたんだよ。断ったら、ウチの組の一人がカマシを入れられたんだ。黙ってられねぇだろ?」



――カマシって何だろう?


疑問が顔に出ていたのか、黒瀬くんが「脅されたってことだよ」と教えてくれた。



「でもさ、大丈夫なの? 椿はまぁ良いとしても、アイツらに百合子ちゃんの顔も割れちゃってるわけじゃん? 報復とかさ……狙われるなら、当然百合子ちゃんでしょ」



萌黄さんの一言で、室内にピリッとした緊張感が走る。