「でもまあ、俺らが観光するはずだった一日が潰れちゃったのは事実だからね。あともう一泊くらいする分の費用は、もちろん皇さんが持ってくれるでしょ?」
椿くんの言葉に、皇さんは顔を上げる。
「ああ、もちろんだ」
「だって。やったね百合子さん。これで三泊四日の京都旅行になったね」
さらっと交渉を成立させた黒瀬くんが、語尾にハートマークでも付いていそうな甘い声で言う。
「……って、いやいや、ダメだよ! それは皇さんにも悪いし……そもそも黒瀬くん、後ろから刺されたんだよ? 観光どころじゃないし、安静にしてないと!」
「そうよ! っていうか慎二さんにたかってんじゃないわよ! たかるならこの馬鹿にしときなさい!」
「馬鹿っておれのこと? ってか、何でおれ!?」
私の言葉に続いて、美代さんと萌黄さんも声を上げる。
各々が言いたいことを口にし始めたことにより段々と収集がつかなくなってきたけれど、「オマエら一旦落ち着け」との皇さんの鶴の一声で、場は静まった。



