逃げられるものならお好きにどうぞ。



「百合子ちゃん、目が覚めたんだって? 大丈夫?」



静かな空気をガラリと換えた正体の主は、萌黄さんだった。その後ろには、美代さんと皇さんの姿も見える。



「本当に、お前さぁ……」

「お、椿も起きてるじゃん! って、何々? 椿ってば、何か不機嫌? 鉄分と一緒にカルシウムも摂っておく? 牛乳買ってこようか?」

「……マジで、一発ぶん殴ってもいいよな」

「いやいや冗談じゃん! もしかしておれ、またお邪魔しちゃった感じ?」

「存在が邪魔」

「存在が!? それさ、おれに死ねって言ってる!?」



萌黄さんの登場により、室内はたちまち賑やかになった。

黒瀬くんと萌黄さんの、恒例にもなりつつあるバイオレンスなじゃれ合い(?)を見守っていれば、呆れ顔をした美代さんと皇さんも部屋に入ってくる。