「こんなの、ちょっと擦りむいただけだから。黒瀬くんの傷に比べたら、全然大したことないよ」
「大したことあるよ。傷に大きいも小さいもないだろ? それに大切な人が傷ついて、気にしないなんて無理に決まってる」
ほっそりとした指先が、私の手の甲をツーッと撫でていく。少し擽ったい。そしてそのまま、大きな掌に包まれた。
黒瀬くんの顔を窺えば、何かを堪えるように唇を噛んでいる。
「……黒瀬くんだって、手、怪我してるよ」
「俺は……これくらい大丈夫だよ」
「駄目。大切な人が怪我してて、気にしないなんて無理だから。……でしょ?」
コテンと首を傾げて、黒瀬くんに言われたばかりの言葉をそのままお返しすれば、ゆっくりと目を瞬いた黒瀬くんは、微かに口許を緩めた。
起きてからずっと辛そうな顔をしていたから、やっと笑顔を見ることができて、少しホッとする。



