逃げられるものならお好きにどうぞ。



「恋愛のところはどうだった?」

「えっと、恋愛はね……“愛情を信じなさい”だって」

「へぇ。神様も良いこと言うね」

「……黒瀬くんは、何て書いてあったの?」

「俺? 俺はね……“この人を逃すな”だってさ」

「え?」

「まぁ神様に言われなくても、逃がす気なんてこれっぽっちもないけどね」



そう言った黒瀬くんは、私を真っ直ぐに見据えて、不敵な笑みを浮かべる。

その表情が、悔しくなっちゃうくらいに格好良くて――私は熱くなった頬を隠すように、サッと顔を逸らした。

……多分黒瀬くんには、私が照れていることなんて、バレバレだっただろうけど。



おみくじをおみくじ掛に結び付けて、スマホで時刻を確認すれば、ちょうど十一時を過ぎたところだった。

次は八坂庚申堂(やさかこうしんどう)というお寺に行ってから、近場でお昼を食べる予定になっている。