――だって、お風呂ってことは、つまり、その……黒瀬くんの前で裸になるってことで……。この歳にもなって恥ずかしいけど、年齢=彼氏いない歴だった私は、恋人と一緒にお風呂に入るだなんて経験があるわけもないのだ。普通に恥ずかしさが勝ってしまう。
「百合子さん、早く。あ、俺が着替えとか準備してあげようか?」
「だ、大丈夫! 自分でするから!」
「そう? ……脱がす方のお手伝いも、百合子さん限定でいつでも受け付けてるから、必要だったら声掛けてね」
ニッと笑った黒瀬くんの顔が、何だか意地悪に見える。してやられた感があるけど……せっかくの旅行だし、多少の恥ずかしさは我慢することにしよう。
腹をくくった私は、黒瀬くんには先に行ってもらって、心を落ち着かせるためにあえてゆっくりと入浴の準備をしてから、外の露天風呂に続くスライドの扉をそっと開いた。



