「それじゃあ、おれは温泉に行こうかなぁ。慎二さんも行くでしょ?」
「あぁ、そうだな」
「あ、美代も一緒に入る?」
「セクハラではっ倒すわよ」
「おぉ、こわっ」
萌黄さんが表情を引き攣らせながら、美代さんから距離をとるように一歩後退った。
――旅館に戻ってきた私たちは、夕食を皇さん達の部屋に集まって済ませた。
部屋分けはどうなるのかと思っていたけど、そこは当初の予定通り、私と黒瀬くんが同じ部屋で、皇さんと萌黄さんが同室、美代さんは一人部屋にしたらしい。
美代さん曰く、皇さんと一緒の部屋で寝るのはさすがに気恥ずかしいとのことだ。
すっぴんを見られたくないと恥じらっている姿はとても可愛かったけど、「化粧してもしてなくても、別に何にも変わんなくない?」とうっかり失言を漏らした萌黄さんは、鳩尾に重たい一発をお見舞いされていた。
――皇さんが天ぷらと炊き込みご飯に夢中になっているタイミングをばっちり見計らっていたところが、さすが美代さんだなと思いました。
そして、豪勢な会席料理に舌鼓を打った私たちは、各々部屋に戻って自由に過ごすことになったのだ。
萌黄さんと皇さんは、このまま二人で大浴場に向かうみたい。
三人と別れた私と黒瀬くんは、今日から二日間寝泊まりすることになる部屋に戻ってきた。



