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黒瀬くんと、すっかり見慣れた夜道を並んで歩く。
「あの人、萌黄さんって……何だか不思議な人だね」
「……そうかな?」
「悪い人ではなさそうだけど……」
「まぁ、悪い奴ではないよ。……信用はできないけど」
黒瀬くんは何か思うところがあるのか、夜空を見上げて暫く黙っていたけど……緩く口角を持ち上げて、自然な動作で私の左手を握った。
「あの人のことは置いておいてさ。そんなことより……ねぇ百合子さん。俺、お願いがあるんだけど」
「お願い?」
「そう。百合子さんに、“好き”って言ってほしいなって」
「……ん?」
ニコニコ。そんな効果音が聞こえてきそうな笑顔を浮かべている黒瀬くん。
その表情はどこか期待しているようにも見えるし、私の反応を見て、何だか面白がっているようにも見える。



