「……百合子さん」
名前を呼ばれて顔を横に向ければ、さっきよりもずっと近い距離に、黒瀬くんがいた。
黒曜石に似た真っ黒の瞳が、私だけを映して揺らめいている。
「俺、これからもずっと、百合子さんのそばにいたいんだ。……俺と、付き合ってくれる?」
「……うん。よろしくお願いします」
笑って頷けば、直ぐに黒瀬くんの腕の中に閉じ込められた。
「やった。めちゃくちゃ嬉しい」
「……うん。私も、嬉しい」
「ふっ、珍しく百合子さんが素直だ」
「……素直だと悪い?」
「ううん。すっごく可愛い」
クスクスと笑われたことにむくれて返せば、おでこをコツンと合わせたまま「可愛い」と囁かれる。
「素直な百合子さんも、素直じゃない百合子さんも、今の照れてる顔も。全部可愛いよ」
「……も、もういいから」
恥ずかしさが限界突破しそうで黒瀬くんの胸元に顔を押し付ければ、黒瀬くんは私の耳元でクスクスと笑い続けながら、抱きしめる腕に力を込めた。



