「百合子さん、待ってたよ」
「ごめんね。遅くなっちゃって」
手を振る黒瀬くんのもとに近寄りながら謝罪すれば「大丈夫。百合子さんのことを考えながら待ってる時間も、結構楽しかったから」とにっこり笑みを返される。
真正面から甘い言葉を告げられて照れていれば、黒瀬くんの後ろで固まっていた男の子が驚いたような声を上げた。
「……は!? おまっ、キャラどうした!? つーか何だよ、めっちゃ美人なお姉さんじゃん! 椿、お前やっぱり年上好き…「うん。いいから、いい加減帰ってくれる?」
私たちのやりとりを黙って見ていた男の子が、目を見開いて黒瀬くんに捲し立てるように言っている。
だけど笑顔の黒瀬くんに言葉を遮られて、ぶぅぶぅと不満そうに唇を尖らせた。
「ケッ、はいはい、お邪魔虫はさっさと退散しますかね。そんじゃお二人共、良いクリスマスを!」
そう言って、最後にはにっこり気の良い笑みを見せてくれた男の子は、駅の改札口の方に向かって走っていってしまった。



