逃げられるものならお好きにどうぞ。



「ってか、もしその子がこなかったらどうすんだよ? つーかお前って、相手が遅刻したとしたらどんくらいまで待てるわけ?」

「はぁ? 何その質問」

「まぁまぁ、いいじゃん」

「……まぁ、相手にも寄るんじゃない?」

「じゃあ俺の場合は?」

「んー、三十秒」

「いや、みじかっ! 何だよ、俺たち友達だろ!? もうちょい待ってろよ!」

「いや、面倒だし」

「クッソ、薄情な奴だな……。じゃあ、今待ってる子だったら?」



盗み聞きしてしまっていることに僅かに罪悪感を抱きながらも、私のことを話題に出されて、黒瀬くんが何て返答するのか気になってしまう。



「そうだなぁ、全然何時間でも待てると思うけど……もし中々こなかったら、俺の方から迎えに行くかな」



そう答えた黒瀬くんが、こちらに振り向いた。視線が重なる。


――私がいることに、とっくに気づいていたみたいだ。