「せ、先生! ローズのティアラが表れました!!」
ひとりの生徒が気づいて声をあげる。
「えぇ!?」「どうして!?」先生も生徒達も驚愕する。
なんと、ローズのティアラが消えた場所に、ローズのティアラが戻っていた。
「本物のローズのティアラは、こちらです」
私は、姿見の裏側からローズのティアラを持ち上げた。
するとどこかから私に鋭い視線が飛んできて、すぐに消えた。
私はそれに気づかないふりをする。
「姿鏡の裏側に収納空間があって、鏡の角度によって、ローズのティアラが表れたり消えたりするんです」
「まあ、姿見の裏の収納空間があったなんて……」
木村先生が驚きで顔を赤くしている。
「ローズのティアラは、最初からずっと姿見の収納空間にありました」
「え、どうして?」と白金さんが聞く。
その声が少し緊張していた。
他の生徒も先生も、静かに私を見つめてくる。
どうして、ローズのティアラはずっと姿見の裏にあったのか……?
誰だって気になるに違いない。
ふと、白金さんから離れて立っている玉城さんを見た。
一瞬、視線が合う。
無表情。でも、瞳が静かにゆれているのが見える。
私は思い切って言った。
「これは……展示会の余興だったみたいです」
一拍して、ガラリと空気が変わった。
生徒たちは、「なんだびっくりした~!」「演出だったのね!」と盛り上がる。
「まあ! 粋なサプライズですわ!」
手をたたいて喜ぶ白金さん。
「……」
反対に玉城さんは少し困った顔をしていた。
