生徒も先生も、みんなとっても困っている。
それはそうだ、学園で高価で歴史のあるローズのティアラが消えたのだから。
どうにかしないと……。
私の目標は3年間、静かで平穏な学生生活をおくること。
でも、思った通りにいかないこともままある。
あまり使いたくなかったけれど、もう使うしか方法がないのかもしれない。
私は部屋の隅に移動すると、ひとり目をとじた。
すると、周りの音がかき消され、脳内で展示室の部屋が再生される。
窓から差し込む明るい光、天井の立派なシャンデリア、真っ赤な絨毯、1年A組の生徒の位置、
3つのティアラ、大きな姿見……。
色々な物がスローモーションのように浮かび上がってくる。
これは、私達が最初に展示室に入って来た時の様子。
私の特殊能力、というか単に見たものを映画のように記憶しておくのが得意なだけなんだけど。
この能力のおかげで、セントリリー学園の特待生になったのだ。
……最初と、今、何かが違う。
……でも、何かがわからない。……
もどかしい、一体何が違うのだろう?
私は、現在の展示室の配置を確認するため目をあけた。
もう一度、差し込む光、シャンデリア、足元の絨毯、今は動いてしまっているけど生徒の位置、
3つのティアラ……大きな姿見。
……あれ? ここだけ最初と違う。なんで?……
……もしかして。……
「白金さん、ちょっと一緒に見てもらいたいのだけど」
私はそばに立っていた白金さんに手招きをした。
「どうしたの?」
白金さんは私の異変に気がついて、そばに来てくれた。
私と白金さんは、大きな姿見の前にいた。
そっと、白金さんに手招きした理由を話す。
そして、「いち、にーの、さん!」
2人で大きな姿見の角度を変えた。
すると――、
