「僕だけしか知らない話」

釘と聞けば、大工さんが使ったりするのかな、、家を建てる時とかに使うよね、
そう言えば一寸ってどれくらいの長さなんだろう、、

第四話 一寸釘
「カーーン。  カーーン。」
丑三つ時の刻に釘を打ち付ける音が鳴り響く。この誰も寄りつかない山は誰かを呪うために藁人形が打ち付けられることで有名である。

私は園子にK君を取られた。あのビッチな女の色仕掛けのせいで、純粋無垢なK君、私だけのK君を取られたのだ。私が付き合っていた頃は手を繋いだことすら、キスをしたことすらなかったのに、、あの女のせいで、、

私と園子は家が近く昔から親同士が仲がいいこともあって仲が良かった。
幼馴染である。私たちは大親友、死ぬまでこの関係は崩れないだろうとそう思っていた。もちろん小中高と一緒の学校に通い、大学も一緒のところに通うようになった。これらは偶然とか必然とかではない。私からすれば当然当たり前のことであり、絶対、園子なしの生活なんて考えられなかったのだ。

そんな私たちは何をするにもどこへ行くにもいつも一緒でお互い結婚せずに一緒に暮らす約束も交わした間柄である。お互い処女を貫き通そうと契りを交わしたほどである。男なんてものはいらない、園子さえいれば、そう思っていた。
しかし、大学生活が始まると私たちの関係は一変した。入学式の時に話しかけてきた男が私に好意を持ったのである。のちのK君である。最初は男と話すなんて穢らわしい、相手なんかしないと思っていたが、K君の優しさと積極的なアプローチに私の心は簡単に揺らぎ、とうとう付き合ってしまったのだ。当然であろう男に耐性のない私が好意を寄せてくる男の熱意に耐えられるはずもなかったのだ。
私は幸せだった。こんな経験などなかったからだ。私たちは中学生のような初々しい恋愛をスタートさせたのだった。しかし、そんな恋愛はすぐに幕を閉じた。
 
私がK君との恋愛を実らせている間に園子とは少しずつ疎遠になった。園子からすれば裏切られたとも同然である。園子はそれからいわゆる陽キャと絡むようになった。元々端正の良かった顔たちをしていた園子は、メイクを覚えモテるようになったのだ。そんな園子は大学では股が緩いビッチで有名になってしまった。しかし、園子の心の穴はそんなとでは埋まることはなかった。園子は復讐の念に駆られていたのである。

そして、私に対して恨みを持っていた園子は私の大切なK君を寝とったのである。その数日後私はK君に振られたのだ。そして現在私はこの山奥にいる。ネットで話題の呪いの儀式を決行することに決めたのだ。私はネットで購入した藁人形と園子の写真、一寸釘、ハンマーを手にして、山を駆け上がっていった。
この儀式する際にはいくつかの注意点がある。
儀式の途中で誰にも見られたりしてはいけない。
儀式の途中で中断した場合、儀式を行なっている本人に不幸が降りかかる。
儀式が完了したその数分後でその対象者は死ぬ。しかし釘は最後まで打ち込まなければならない。
私はこれらのことに注意しながら、奥深くの木に目星をつけた。
「よし、この木にしよう。」
私は心の中で、
「しね、しね、しね、」と何度も繰り返し、藁人形を園子に見立てて強く一寸釘を打ち込んだ。笑みが溢れる。この儀式を完了させれば園子は死ぬのだ。そう思うとより一層にやけが止まらなかった。私はこれは迷信と知りながらも、心からこの迷信に頼り切っていた。
そんな時、ガサガサと近くの茂みに足音が近づいてくるのが聞こえた。私はこの儀式が見つかってはいけないと思い急いで釘を打ち続けた。しかしどんどん足音は近づいてくる。やっとの思いで打ち込んだと思ったら、出てきたのは野生の鹿だった。
「あっちいってよ!ほらっ、しっ、しっ、」私は最初は驚いたが、人間じゃないことに安堵した。
鹿は驚いて一目散に去っていった。そんな時山にある音が鳴り響いた。
「カーーン、、カーーン、、」釘を打ち付ける音である。
私は他にも人がいるんだと思い、少し焦ったが儀式は完了しているため余裕の表情を浮かべていた。しばらくすると釘を打ち付ける音は鳴り止んだ。
その木にはK君と付き合っている時の私の顔写真だけが藁人形に括り付けられ、釘が見えなくなるくらいまで打ちつけられていた。





女って怖いよね、、、全く女の気持ちはさっぱり分からないや、、
あぁーおっかないおっかない、
近くの山では「カーーン、、カーーン、、」と音が静寂の夜に包まれていた。

第四話 一寸釘 〜完〜