「ショートショート集」

みいつけた。
誰か私を見ている。そんな気がしてならないのだ。いつもいつも誰かに見られている気がする。私はパートで働く主婦である。二人の子を抱えながら夫の収入だけでは生活がままならないため、しょうがなく働いているのである。最近は何のために生きているのか分からない。まぁもちろん家族のためなのだが、、、
朝起きれば朝ごはん、お弁当を作り、掃除に洗濯気づけばもうお昼を過ぎる頃に差し掛かる。そして買い物をしに出かけ脳みそはいつも夕食の献立のことでいっぱいである。さらに、生活用品など家のことなど様々なことをやっていると夕食の支度に差し掛からなければならない。結局働くには夜しかないのだ。
無論他の人から見れば昼間に働ければいいとか、怠惰だ。みんなおんなじだからお前だけじゃないとかいう輩もいるだろう。昼に働くのは私の性分には合わないのだ。それに夜に働いたほうが稼げるに決まっている。私は週に5日コンビニで夜の22〜2時まで働く。家から一番近くシフトの融通が利きやすいのが決め手である。
 今日もまた出勤かと思うとため息が止まらない。「はぁ、、」これが私の口癖になった。コンビニ行くまではいつも億劫であるが働き始めたらそうでもない。しかし、問題はたくさんある。慣れつつある仕事内容に飽き飽きしてくると襲いかかるのは睡魔である。いつものごとくトラックからたくさん台車が下され大量の納品物が届く。この時間にこの量をこなすのは、結構堪える。しかし、この時間になるとほとんど客が来ないのがせめてもの救いだ。私はマイペースなので、店内に流れるBGMの口ずさみながら品出しを行うのが日課だった。
 ここ最近悩みは嫌な夢を見ることだった。夜道に歩いていると背後から襲われるという夢だった。ここ最近は特に多い。私はいつも嫌な夢で冷や汗をかいて飛び起きる。ようやく仕事が終わった。「お疲れ様です。」私は退勤した。少しの廃棄を片手に。私は節約のためには努力を惜しまない。少しでも家計のためにと子供達のために貯金をしているのだ。なので徒歩15分ほどのこのコンビニまで毎度のごとく歩いて出勤する。ただでさえガソリンを少しでも無駄にはできないのだ。しかし、私は最近見る夢のせいで少し帰り道が怖かった。少し前まではイヤホンをしながら好きな音楽を聴きながら帰るのが私の唯一の楽しみだったが、周りの音が何も聞こえない状態が怖いと感じるようになりそれからやめた。「まさか、正夢とかにはなるまい。」私は心の中でそう繰り返す。しかし、やはり一人で夜道を歩いて帰るのはとてつもなく恐ろしい。ちょっとした物音にとても敏感になってしまう。特に電柱の裏などの影には要注意だ。人が隠れていて急に襲ってくるかもしれない。私はあらゆるところに注意を払った。田舎にポツンとあるコンビニから私の家まで立ったの15分ではあるが、その15分が2時間3時間にも感じられた。背後から視線をいくつも感じる。
この地域は熊こそ出ないが、猿、狐、鹿、猪などの野生動物がよく出る。田舎に住んでいるものからすれば何の変哲もない日常だろう。私は野生動物だと信じたかった。私が一歩歩けばそいつも一歩跡をついてくるそんな感覚が感じられた。しかし、振り向いても人一人見当たらない。まるでだるまさんがころんだをしているようだった。それでも私の第六感とやらはそいつの気配を感じられた。まだ後ろにいる。私は覚悟を決めた。家まで残り200メートルくらいのとこまできた。このまま家まで走り切って逃げ切ってやる。家の中に入りさえすればこちらの勝ちだ。私は角を曲がった直後に夜道を彗星のごとく一気に駆け抜けた。もう後ろは振り返らない。持っていた廃棄の惣菜やパンを投げ捨て死ぬ思い出駆け抜けた。私は震える手で家の鍵を刺そうとした。なかなかうまく刺さらない。「お願い、落ち着け自分。」乱れる呼吸を整え追いつかれる寸前で何とか中へ入り込んだ。「助かった、、」私は安堵した。家の鍵は二重ロックになっているし裏口のドアも鍵で閉め切ってある。これでもう安心。私はシャワーを浴び寝巻きに着替え就寝する準備を整えた。恐ろしかった。こんな経験は二度としたくない。寝ようとしたその瞬間。「ガチャッ、、ギィーーーー、、、」裏口のドアが開くような音が聞こえた。おかしい、裏口のドアは中からしか開けれないようになっているはずなのに。気のせいだろうか、けどもし本当に奴が来たら。私はそう考えると居ても立ってもいられずゆっくりと台所に行き包丁を手に取り押入れに隠れた。「コツ、、、コツ、、」一段一段階段を登っていく音が聞こえた。「2階には主人と子供たちが、、、」私はそう思ったが私が今出ていっても返り討ちに合うだけである。私は主人とこどもたちが無事である可能性に賭けたのだ。「どうか、、、お願い、」5分ほど経つとまた階段を降りる音が聞こえた。しかしその音には「ピシャリ、、ピシャリ、、」と雨の中を歩くような音が混じっていた。私は最悪の仮説を考えた。主人と子供達を殺した際に出た血が靴に大量についたことでこの音が出ているのだろうと。そうだこれに違いない。私の恐怖は憎しみ復讐へと変貌した。「私が仇を打ってやる、、絶対に許さない。」私は我を忘れて飛び出そうと思ったが、少し思いとどまった。「結局急に出ていったところで、絶対にやられる。」私はやつが階段を降り切る前にゆっくり忍び寄って待ち伏せをし階段を降り切ったところで襲おうと考えたのだ。しかし、時間がない。私は今出せる全力のスピードで物音一つ立てずに忍び寄った。「絶対に許さない、、」もはや私の気持ちは怨念と化した。階段を降り切るのを待っているが一向に降り切る気配がない。まさか2階へと逆戻りしたのか、そんなわけはない。そうすればきっと足音が聞こえるはずだ。私は恐る恐る階段の下から上を見上げてみた。誰もいない。あるのは血まみれの足跡だけである。どこに行ったのだ。私は電気をつけて急いで階段を登った。2階を探し回るも廊下や床が血まみれなだけでやつはどこにもいない。ますます私は混乱した。私がコンビニから帰る道中跡をつけて追いかけてきたのはやつで間違い無いのだ。そしてこの家に侵入したのもあいつ以外考えられない。どうかしている。いったいどこへ行ったのだ。私は奴を探すことに夢中になり、家族の安否など毛頭気にしていなかった。「そういえば主人と子供たちは無事なの、、、」私は我に帰り急いで主人と子供達が寝ている部屋へ向かった。そこには血まみれのベッドがあるだけで三人の姿はどこにもいない。まさかやつが連れ去ったのだろうか。しかしそうで無いとするとこの大量の血は一体どう説明すればいいのか。私はベッドを目の前にして、呆然と立ち尽くした。急にブレーカーが落ちた。部屋が真っ暗になった。私はまた真っ暗の中に背後に冷たく恐ろしいものを強く感じた。
「みいつけた。」私は背後からナイフで喉元を掻っ切られた。
「おぉ悶え苦しんでいますなぁ、泣いていますぞい。」「見事でございますねぇ実に面白いものを開発しましたな。」
30XX年戦争に勝利したN国は経済が急激に発展した。戦争に勝利したN国は敗戦国のA国の奴隷を被験体とし実験を行っていた。
「これは一体どのような用途で使うものなのですか?」研究員が尋ねた。「これは誰でも悪夢を見させることができるVRゴーグルなんじゃ。これをつけられたものは一生外すことができず永遠に自分が死ぬ瞬間を繰り返し見させることができる優れものでの。」と博士は答える。博士は続けた。「これを使えばどんな権力者もイチコロじゃ、ほれお前にも一個試作品をやろう。」「ありがとうございます。いいですねぇこのゴーグルは地位も名誉もこれで全て思い通りか、、」研究員はうつむく。「何度も言うがこのゴーグルをつけられたものはもう元の生活には戻れぬからな、当たり前じゃ、、」と言いかけところで研究員が博士にゴーグルを被せた。
「丁寧な説明ご苦労だったな。これで研究所は俺のもの、いや世界は俺のものだ!」
そして、世界の戦争はさらに激化していった。夢を見ている方がよっぽど幸せなことなのかもしれない。そして大量生産されたゴーグルは世界にばら撒かれた。
ある小さな国の少年が道端に落ちているゴーグルらしきものに気づいた。
「みいつけた」