隣の席の悪魔【旧版】

六月。

今日は朝から、
雨だった。

窓を叩く音。

どんよりした空。

昼休みの図書当番。

図書室の窓も、
白く曇ってる。

「やだぁ……
髪広がる……」

私はカウンターに突っ伏した。

「元気ないな」

聞き慣れた低い声。

顔を上げる。

空くん。

今日も来た。

「だって雨嫌いだもん」

私はカウンターに頬をつけたまま言う。

「靴濡れるし、
髪うねるし、
走れないし」

その瞬間。

ぴたり。

空くんの動きが止まる。

「……走る気だったの」

「え?」

顔を上げる。

空くんは、
普通の顔。

でも。

少しだけ、
口角が上がってる。

「だって最近、
ずっと走ってるじゃん!」

「毎日ではない」

「ほぼ毎日!」

「はは」

……くそう。

やっぱりずるい。