隣の席の悪魔【旧版】

九月。

暦では秋なのに、
まだ夏みたいな暑さが残っていた。

空は真っ青で。

大きな入道雲は、
相変わらず空の端にそびえ立っている。

グラウンドの照り返しが眩しい。

「暑っっっ……」

私はタオルで顔をあおぎながら、
空を見上げた。

体育大会。

朝からずっと、
グラウンドは騒がしい。

笛の音。

応援の声。

スピーカーから流れる音楽。

全部ごちゃごちゃしてる。

でも。

楽しい。

だって青春だから!

「星野ー!!
次出番だぞ!」

クラスメイトに呼ばれて、
私は慌てて立ち上がる。

「うわ、やば!」

リレー。

緊張する。

でも。

ちょっと楽しみ。

だって。

空くんと走ってたから。

前より少しだけ、
速く走れる気がする。

私はスタート位置へ向かいながら、
ふと観客席を見る。

……いた。

空くん。

木陰で腕組み。

眠そう。

なんであんな涼しそうなの。

その隣には、
葛西くん。

こんな時でもノッポ。