隣の席の悪魔【旧版】

「夏祭り行かね?」

放課後。

教室。

葛西くんが、
椅子を逆向きにして座りながら言った。

「嫌」

空くん、
即答。

「早っ」

私は思わず吹き出す。

葛西くんは呆れたみたいに笑った。

「受験始まるし、
思い出作り」

「意味がわからない」

「花火だぞ?」

「テレビで見る」

「お前ほんと夢ないな」

空くん、
頬杖のまま動かない。

その時。

葛西くんが、
ふっと笑った。

「空、
お前今年最後かもだろ」

ぴたり。

葛西くんのその言葉だけ、
妙に静かに聞こえた。

私は思わず、
顔を上げる。

……来年。

空くんは、
遠くの高校に行く。

その時。

葛西くんが、
何気ない顔で続ける。

「な、
つむぎも行くよな?」

その瞬間。

私は待ってましたと言わんばかりに、
勢いよく身を乗り出した。

「行く!!」

そのまま。

空くんを見る。

「空くんも来る!!!」

「なんで決定なんだよ」

「思い出作り!!」

空くんは少し黙ったあと、
やれやれ、と立ち上がった。