練くんがマイクを片手に、食堂に入ってきた。
そしてもう片方の手には、バスケットかごを持っている。かごにはブラウニーが数個だけ入っている。おかわり用の、あったっけ。
「あと、アレルギーがある人たちは、こっちが卵抜き、こっちが牛乳抜きで作ったので、ぜひ! アレルギー無い人も食べてオーケーです」
練くんが台に、バスケットかごを置く。
「美味しそうね。・・・・・・私の孫が牛乳アレルギーなんですよ。これ、孫に食べさせてあげたいので、持って帰ってもいいですか?」
練くんは台のところで座り、食堂内を見守っている。そこに今、おばあさんが話しかけに行っている。
練くんのあいづちは優しくて、自然とおばあさんも柔らかい笑顔になっていく。
しばらく練くんは無言で話を聞いていたけれど、やがてブラウニーの袋を優しく手で包み込み、
「いいですよ。またいつでも食堂にいらしてください」
と、おばあさんに袋を手渡した。
「ありがとう。元気でね」
おばあさんはそう言って、食堂から出て行く。
「練くん、私たちも食べよう、ブラウニー」
私も練くんの隣に行こうとした。
そこで誰かがーーー・・・・・・。
「キャー、鼻血ーーーッ‼︎」
誰かが、叫んだんだ。
練くんは慌てたように、その声の方に駆け寄る。
「大丈夫? ああ、このくらいならすぐ止まるよ、きっと」
練くんは鼻血を出してしまった女の子をソファに座らせる。
「玲奈」
ふと、練くんの声がした。
「玲奈。ティッシュ持ってきて、早く」
ちょっと強く、肩に手を置かれた。
「あ、うん!」
ティッシュペーパーボックスを探しに、私は立ち上がった。
「お姉さん、これ、わかんない・・・・・・教えて」
廊下を駆けていたとき、ふと小学生の子に呼び止められた。
「ん? どれどれ」
その子が差し出した教科書を、私は覗き込む。
小学4年生の社会だ。
とりあえず問題文を声に出して読んでみる。
いや、これは問題文じゃなくて、説明文だね。
「伝統工芸品」
その下に、染め物づくりの工程や、都道府県ごとの伝統工芸品などが、地図や写真とともに紹介されている。
「玲奈ー?」
練くんの呼ぶ声が聞こえてきて、ハッとした。
そうだ。ティッシュペーパー。これを届けなきゃ。
「ごめんね。私、食堂に戻らなきゃ。またね」
「うん・・・・・・ありがとう」
その声を聞きながら、私は食堂の扉を開けた。
そしてもう片方の手には、バスケットかごを持っている。かごにはブラウニーが数個だけ入っている。おかわり用の、あったっけ。
「あと、アレルギーがある人たちは、こっちが卵抜き、こっちが牛乳抜きで作ったので、ぜひ! アレルギー無い人も食べてオーケーです」
練くんが台に、バスケットかごを置く。
「美味しそうね。・・・・・・私の孫が牛乳アレルギーなんですよ。これ、孫に食べさせてあげたいので、持って帰ってもいいですか?」
練くんは台のところで座り、食堂内を見守っている。そこに今、おばあさんが話しかけに行っている。
練くんのあいづちは優しくて、自然とおばあさんも柔らかい笑顔になっていく。
しばらく練くんは無言で話を聞いていたけれど、やがてブラウニーの袋を優しく手で包み込み、
「いいですよ。またいつでも食堂にいらしてください」
と、おばあさんに袋を手渡した。
「ありがとう。元気でね」
おばあさんはそう言って、食堂から出て行く。
「練くん、私たちも食べよう、ブラウニー」
私も練くんの隣に行こうとした。
そこで誰かがーーー・・・・・・。
「キャー、鼻血ーーーッ‼︎」
誰かが、叫んだんだ。
練くんは慌てたように、その声の方に駆け寄る。
「大丈夫? ああ、このくらいならすぐ止まるよ、きっと」
練くんは鼻血を出してしまった女の子をソファに座らせる。
「玲奈」
ふと、練くんの声がした。
「玲奈。ティッシュ持ってきて、早く」
ちょっと強く、肩に手を置かれた。
「あ、うん!」
ティッシュペーパーボックスを探しに、私は立ち上がった。
「お姉さん、これ、わかんない・・・・・・教えて」
廊下を駆けていたとき、ふと小学生の子に呼び止められた。
「ん? どれどれ」
その子が差し出した教科書を、私は覗き込む。
小学4年生の社会だ。
とりあえず問題文を声に出して読んでみる。
いや、これは問題文じゃなくて、説明文だね。
「伝統工芸品」
その下に、染め物づくりの工程や、都道府県ごとの伝統工芸品などが、地図や写真とともに紹介されている。
「玲奈ー?」
練くんの呼ぶ声が聞こえてきて、ハッとした。
そうだ。ティッシュペーパー。これを届けなきゃ。
「ごめんね。私、食堂に戻らなきゃ。またね」
「うん・・・・・・ありがとう」
その声を聞きながら、私は食堂の扉を開けた。



