いじわる主治医は、私にだけ甘い

次の日、彩人からメッセージがきた。
私たちは海でのデートの後、連絡先を交換したのだ。

”ちょっと今電話できる?”

”ちょうど昼休みだから大丈夫だよ”

”俺も”

その後に画面に表示される【桐ヶ谷彩人】の文字。
文字だけでドキドキしながら電話に出る。

「もしもし花野です」

「俺だ」

「オレオレ詐欺ですか」

「つまんねーこと言うんじゃねぇ。おい1週間くらい休み取れない?」

「有給ならありますけど……」

「俺の家族、いまハワイにいるんだけど恋人できたと言ったら連れて遊びにこいってうるさくて」

「はぁ!? 家族!?」

いきなり話が飛びすぎである。
この間付き合ったばかりだと言うのに、両家挨拶とか。
いやまだ片方だけども。

「ったく。うるさいなぁ。いいじゃん。ハワイはいいぞ。ゆっくり出来るぞ。もちろん呼んだのは向こうだから金も向こう持ちだ」

「くぅ……ハワイ行ってみたい」

「じゃあ決まりな。来週月曜のフライトにしたから」

「彩人は仕事平気なの?」

お医者さんだし。患者さんが……って私もだけど。

「このままだと過労死するって言ってねじ込むよ」

「そしたら、楽しみにしていいのかな」

「あぁ、ずっと独り占めしてやるよ」

もう、彩人はそういう臭いセリフが死ぬほど似合うから困る。

「わかったよ。ねぇ、今日病院行っていい?」

「ん? 調子悪いのか」

「ううん、一緒に帰りたいだけ」

「職務妨害、ストーカー冴(笑)」

「全然違うし!」

「いいよ、じゃあね」

ブツッと切れる電話。
それにしてもハワイ!?
突然過ぎるよ~~~
しかもご両親にあいさつとか。
後で問い詰めてやる!