響け!星夜のセレナーデ

「な、何だこれ……。体が動けねぇ……」

この中で一番力が強いアントーニョですら、指一本動かすことができない。オルハンが悔しげに言う。

「幽霊が出せない……」

「私も翼が出せないわ!ハリエットを助けなきゃいけないのに……」

マーガレットの瞳から涙が溢れる。体を動かそうと必死にもがいているのだろう。レオンハルトも同じだ。

「レオン……」

ルートヴィッヒがレオンハルトを見つめる。陸軍に所属するルートヴィッヒですら、この魔法を解けていない。

(全く体が動かせない。これはどんな魔法なんだ?そもそも私は、この攻撃を魔法として認識できているのか?)

体が動かせないことの焦りだけが募っていく。そんなレオンハルトたちを見て、ジョセフは口角を上げた。

「邪魔をされては困るからな。しばらく動けないでいてもらう。ああ、安心しろ。ハリエット・エルガーが死んだら魔法を解いてやる」

ジョセフが銃口をハリエットに向けた。ハリエットは涙を流しながら目を閉じる。その顔は、恐怖しながらも死を受け入れていた。