5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。




「寝た……か」



規則正しくなった寝息を聞き届け、
俺は胸を撫で下ろした。


握りしめていた彼女の手をそっと離す。

その指先が離れる瞬間、言葉にできないほどの名残惜しさが込み上げてきたけれど、今は彼女の休息が何よりも優先だ。


起こさないよう、細心の注意を払って静かに部屋をあとにした。


廊下に出ると、ひんやりとした空気が火照った頬を撫でる。


さて、と。一息ついて、頭を現実的な「日常」へと切り替える。



(今日のご飯、どうすっかなあ……)



夕食の献立を考えながら、
いつもの習慣でキッチンへと向かう。


海緒の体調も心配だけど、しっかり食べさせなきゃな。
……いつも通り、ボリュームのある肉料理でいいか。


彼女が起きた時に、少しでも元気が出るようなものを作っておこう。
俺は気持ちを切り替えるように、台所の蛇口をひねった。