5月の雪が止む頃に、君が本当の笑顔を取り戻せるように。




『……本当に、何かあったら呼んでください。すぐに行くので』



布団に深く潜り込んだ海緒が、
顔だけを少し出して俺を見上げた。


パニックから立ち直ったばかりで、
自分の体さえまだ震えているはずなのに、彼女はどこまでも俺のことを気遣おうとする。



「うん、分かった」



俺の返事に、彼女は安心したように瞳を細めた。



『それじゃあ……ありがたく、おやすみいただきます』



布団の端から見えるその肩のラインは、
どこか小さく、まだ微かに震えているように感じた。


強がって俺を安心させようとしているのか、
それとも残った恐怖と戦っているのか。


その震えを今すぐ抱きしめて止めてやりたい衝動を、俺は必死に理屈で抑え込む。


今の俺にできるのは、彼女をこれ以上怖がらせないように、静かに夜を守ることだけだ。