『……本当に、何かあったら呼んでください。すぐに行くので』
布団に深く潜り込んだ海緒が、
顔だけを少し出して俺を見上げた。
パニックから立ち直ったばかりで、
自分の体さえまだ震えているはずなのに、彼女はどこまでも俺のことを気遣おうとする。
「うん、分かった」
俺の返事に、彼女は安心したように瞳を細めた。
『それじゃあ……ありがたく、おやすみいただきます』
布団の端から見えるその肩のラインは、
どこか小さく、まだ微かに震えているように感じた。
強がって俺を安心させようとしているのか、
それとも残った恐怖と戦っているのか。
その震えを今すぐ抱きしめて止めてやりたい衝動を、俺は必死に理屈で抑え込む。
今の俺にできるのは、彼女をこれ以上怖がらせないように、静かに夜を守ることだけだ。



