「“美月”がいいのか、“美月さん”がいいのか、どっちがいい?」
無神経すぎる質問に、心臓が一瞬だけ変な跳ね方をした。
「ど、どっちでも……」
「どっちでもは困る。選んでよ」
急な要求に、すぐには答えを出せない。
……この人、ここまで来ると本当に理解不能すぎて。
私はいつも振り回されっぱなしだ。
「じゃあいいや、“美月”って呼ぶね」
と、勝手に決められる。
「呼びやすいし。自然でしょ」
その一言が、妙に残る。
なにも言えなくなって、視線を逸らす。
落ち着かない。いや、落ち着かないどころか、さっきから心臓が変な音を立てている。
ただ、名前を呼ばれただけなのに。
それだけなのに、さっきまでと同じ空気じゃない気がする。
しかも、私だけ。
「穂村さんは?」
ふと思い出したように、今度は問い返される。
「え?」
「こっちの呼び方。どうする?」
考えたこともなかった。
「……藍沢さん、でいいです」
とりあえずそう答えると、
「外だと変じゃない?」
と、あっさり返される。
「じゃあ…」
ほんの一拍置いてから、
「大地さん?」
自分で言って、変な感じがした。
「うん、それがいいかもね。呼び間違えないでよ」
あっさりと受け入れられる。しかも、釘まで刺された。
その“なんでもない感じ”が、余計に落ち着かない。
「……美月。練習しとかないと、俺も忘れそう」
試すみたいに、もう一度呼ばれる。
やっぱり、慣れない。
名前を呼ばれるだけで、こんなに意識してしまうなんて。
たぶん、向こうは何も考えていないのに。
それが、少しだけ悔しかった。
……どうしてかは、分からないけど。
無神経すぎる質問に、心臓が一瞬だけ変な跳ね方をした。
「ど、どっちでも……」
「どっちでもは困る。選んでよ」
急な要求に、すぐには答えを出せない。
……この人、ここまで来ると本当に理解不能すぎて。
私はいつも振り回されっぱなしだ。
「じゃあいいや、“美月”って呼ぶね」
と、勝手に決められる。
「呼びやすいし。自然でしょ」
その一言が、妙に残る。
なにも言えなくなって、視線を逸らす。
落ち着かない。いや、落ち着かないどころか、さっきから心臓が変な音を立てている。
ただ、名前を呼ばれただけなのに。
それだけなのに、さっきまでと同じ空気じゃない気がする。
しかも、私だけ。
「穂村さんは?」
ふと思い出したように、今度は問い返される。
「え?」
「こっちの呼び方。どうする?」
考えたこともなかった。
「……藍沢さん、でいいです」
とりあえずそう答えると、
「外だと変じゃない?」
と、あっさり返される。
「じゃあ…」
ほんの一拍置いてから、
「大地さん?」
自分で言って、変な感じがした。
「うん、それがいいかもね。呼び間違えないでよ」
あっさりと受け入れられる。しかも、釘まで刺された。
その“なんでもない感じ”が、余計に落ち着かない。
「……美月。練習しとかないと、俺も忘れそう」
試すみたいに、もう一度呼ばれる。
やっぱり、慣れない。
名前を呼ばれるだけで、こんなに意識してしまうなんて。
たぶん、向こうは何も考えていないのに。
それが、少しだけ悔しかった。
……どうしてかは、分からないけど。



