ゴミ袋を持ってふたりで外に出る。
内廊下は、空調の効いた一定の温度で、朝なのか夜なのか分からない。
そのままエレベーターへ向かおうとしたら、手元がふっと軽くなる。
視線を落とすと、さっきまで自分が持っていたはずのゴミ袋が、彼の手に移っていた。
「……ありがとうございます」
「うん」
それだけで、会話は終わる。
なのに、なぜか少しだけ、空気がやわらいだ気がした。
引っ越しで出てきた大きなゴミ袋を二つ、彼がゴミ捨て場に置いた。
まだ部屋にダンボールは残っているけれど、大きなものはだいぶ片付いてきた。
ゴミ捨て場から出てきたところで時間を見ると、乗りたい電車の時刻が迫っていた。
隣に立っている彼を見上げる。
「……じゃあ、行ってきます」
「うん。いってらっしゃい」
いつものやりとりをして、軽く視線を向けてから私は駅の方へ歩き出す。
数歩進んだところで、
「行ってきます」
背後から、声が落ちた。
振り返ると、彼はもう反対方向へ歩き出している。
こちらを見る様子もなく、そのまま遠ざかっていく。
「……いってらっしゃい」
少し遅れてつぶやいた声は、届いたのかどうか分からなかった。
••┈┈┈┈••
内廊下は、空調の効いた一定の温度で、朝なのか夜なのか分からない。
そのままエレベーターへ向かおうとしたら、手元がふっと軽くなる。
視線を落とすと、さっきまで自分が持っていたはずのゴミ袋が、彼の手に移っていた。
「……ありがとうございます」
「うん」
それだけで、会話は終わる。
なのに、なぜか少しだけ、空気がやわらいだ気がした。
引っ越しで出てきた大きなゴミ袋を二つ、彼がゴミ捨て場に置いた。
まだ部屋にダンボールは残っているけれど、大きなものはだいぶ片付いてきた。
ゴミ捨て場から出てきたところで時間を見ると、乗りたい電車の時刻が迫っていた。
隣に立っている彼を見上げる。
「……じゃあ、行ってきます」
「うん。いってらっしゃい」
いつものやりとりをして、軽く視線を向けてから私は駅の方へ歩き出す。
数歩進んだところで、
「行ってきます」
背後から、声が落ちた。
振り返ると、彼はもう反対方向へ歩き出している。
こちらを見る様子もなく、そのまま遠ざかっていく。
「……いってらっしゃい」
少し遅れてつぶやいた声は、届いたのかどうか分からなかった。
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