「無理だと思ってたのに……」
「そう?」
興味なさそうな返事。
カタカタと、キーボードの音だけが軽く響いている。
冷蔵庫を開けると、見覚えのないペットボトルが増えていた。
「あ、補充されてる…」
「水ないと困るから」
いつ買いに行ったんだろう。まだ寝ぐせついてるのに。
その髪の毛で出かけたのかな。それともネット通販?
「……まだ仕事中なんですか?」
「うん。終わりそうにない」
私にはまったく向かない視線を見ると、お取り込み中なのは間違いない。
その代わり、ちゃんと表情は変わる。
不満げだった。
「Wi-Fi、ちょっと遅いんだよな」
「そうなんですか?」
「気になるから、ルーターの位置、あとで変える」
完全に“住む前提”の発言だ。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
ここにいる人は無機質に見えても、作り上げたのは“誰かが暮らしている部屋”だったからだ。
私はバッグを置いて、ふかふかのソファに腰を下ろす。
まだどこか少し落ち着かない。
「……なんか、ちゃんと家っぽくなってますね」
「でしょ?」
会話がある。仕事中でも、無視するわけじゃない。
それだけで、少しだけ空気が緩む。
……クッションがほしい。
このままだと落ち着かない。
思い立って、座ったばかりなのに立ち上がった。
「どこ行くの」
「クッション、買ってきます」
「いらなくない?」
「いりますよ!」
「邪魔になる」
「なりません」
「……まあ、好きにすれば」
私はバッグをつかんで、急ぎ足で外へ出た。
••┈┈┈┈••
「そう?」
興味なさそうな返事。
カタカタと、キーボードの音だけが軽く響いている。
冷蔵庫を開けると、見覚えのないペットボトルが増えていた。
「あ、補充されてる…」
「水ないと困るから」
いつ買いに行ったんだろう。まだ寝ぐせついてるのに。
その髪の毛で出かけたのかな。それともネット通販?
「……まだ仕事中なんですか?」
「うん。終わりそうにない」
私にはまったく向かない視線を見ると、お取り込み中なのは間違いない。
その代わり、ちゃんと表情は変わる。
不満げだった。
「Wi-Fi、ちょっと遅いんだよな」
「そうなんですか?」
「気になるから、ルーターの位置、あとで変える」
完全に“住む前提”の発言だ。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
ここにいる人は無機質に見えても、作り上げたのは“誰かが暮らしている部屋”だったからだ。
私はバッグを置いて、ふかふかのソファに腰を下ろす。
まだどこか少し落ち着かない。
「……なんか、ちゃんと家っぽくなってますね」
「でしょ?」
会話がある。仕事中でも、無視するわけじゃない。
それだけで、少しだけ空気が緩む。
……クッションがほしい。
このままだと落ち着かない。
思い立って、座ったばかりなのに立ち上がった。
「どこ行くの」
「クッション、買ってきます」
「いらなくない?」
「いりますよ!」
「邪魔になる」
「なりません」
「……まあ、好きにすれば」
私はバッグをつかんで、急ぎ足で外へ出た。
••┈┈┈┈••



