「お疲れ様です。すみません、さっきの不具合、挙動を見せてもらっていいですか?」
声をかけると、モニター越しに一人の男性の顔が上がる。
開発担当のひとりだ。
「ああ、いいですよ」
隣に少しスペースを空けてもらって、画面を覗き込む。
細かいロジックまでは追わない。でも、挙動はちゃんと分かる。
操作が進んで、数秒後。
画面が止まる。
……確かに、止まる。
「再現条件って、これだけですか?」
「ですね。今のところは」
彼がうなずいたのを見て、私は腕を組んで眉を寄せる。
影響範囲や、利用頻度。
この機能が止まったときの、ユーザーへの影響。
頭の中で、いくつかのパターンを並べていく。
「…この機能、優先度どのくらいでしたっけ」
と聞くと、彼はすぐに首を振った。
「そこまで高くないですね」
「やっぱり。そうですよね」
予想通りの答えに、組んでいた腕を解く。
「じゃあ、一旦ここ切りましょう」
言葉にすると、相手が少しだけ目を細めた。
「え、切るんですか?」
「はい。このまま出すと、全体の信頼性に影響が出ちゃいますから」
自分でも驚くくらい、迷いなく言えていた。
「他の機能は予定通りリリースできますし、影響範囲も限定的です。この部分は次フェーズで改修しましょう」
短く区切って伝えると、数秒の沈黙のあと、あちらが小さいうなずきが返ってくる。
「……了解です。それでいきましょう」
私はふっと小さく息を吐いた。
「ありがとうございます。営業側にはこちらから説明入れますね」
「はい、お願いします」
彼の返事を聞いてから、軽く頭を下げてその場を離れる。
席に戻るまでの間、さっきのやり取りを頭の中でなぞっていた。
正解かどうかは分からない。
でも、────決めるのは、ここしかないと思った。
椅子に座り直して、キーボードに指を置く。
今度は迷いなく、文章を打ち込めた。
••┈┈┈┈••
声をかけると、モニター越しに一人の男性の顔が上がる。
開発担当のひとりだ。
「ああ、いいですよ」
隣に少しスペースを空けてもらって、画面を覗き込む。
細かいロジックまでは追わない。でも、挙動はちゃんと分かる。
操作が進んで、数秒後。
画面が止まる。
……確かに、止まる。
「再現条件って、これだけですか?」
「ですね。今のところは」
彼がうなずいたのを見て、私は腕を組んで眉を寄せる。
影響範囲や、利用頻度。
この機能が止まったときの、ユーザーへの影響。
頭の中で、いくつかのパターンを並べていく。
「…この機能、優先度どのくらいでしたっけ」
と聞くと、彼はすぐに首を振った。
「そこまで高くないですね」
「やっぱり。そうですよね」
予想通りの答えに、組んでいた腕を解く。
「じゃあ、一旦ここ切りましょう」
言葉にすると、相手が少しだけ目を細めた。
「え、切るんですか?」
「はい。このまま出すと、全体の信頼性に影響が出ちゃいますから」
自分でも驚くくらい、迷いなく言えていた。
「他の機能は予定通りリリースできますし、影響範囲も限定的です。この部分は次フェーズで改修しましょう」
短く区切って伝えると、数秒の沈黙のあと、あちらが小さいうなずきが返ってくる。
「……了解です。それでいきましょう」
私はふっと小さく息を吐いた。
「ありがとうございます。営業側にはこちらから説明入れますね」
「はい、お願いします」
彼の返事を聞いてから、軽く頭を下げてその場を離れる。
席に戻るまでの間、さっきのやり取りを頭の中でなぞっていた。
正解かどうかは分からない。
でも、────決めるのは、ここしかないと思った。
椅子に座り直して、キーボードに指を置く。
今度は迷いなく、文章を打ち込めた。
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