オフィスに入った瞬間、空気が変わった。
ついさっきまでの“生活の温度”が、すっと引いていく。
このちょっとだけやかましくて、ちょっとだけ慣れている空気で、私はいつも仕事をしている。
ひとりだけの空間ではなく、会社のみんなと。
パソコンを立ち上げると同時に、通知がいくつも重なった。
社内チャット、メール、スケジュール更新。
息をつく暇もなく、一日が始まる。このたくさんの通知が、合図みたいになっている。
椅子に腰を下ろして画面を開くと、一番上に表示されていたスレッドのタイトルに、目が止まった。
『【至急】仕様追加の可否について』
スクロールする。
〈この機能、今月中に対応できませんか?先方から強めに要望が出ています〉
営業の書き込み。
その下に、すぐさま続く開発からの返信。
〈現行スケジュールでは難しいです。設計見直しが必要になります〉
予想通りの流れに、気が重くなってしまって小さく息を吐いた。
「穂村さん」
呼ばれて顔を上げると、営業の斉藤さんが立っている。
「さっきの件、見た?」
「はい、いま見ました」
「できれば、今月中に入れたいんだよねぇ」
ついさっきまでの“生活の温度”が、すっと引いていく。
このちょっとだけやかましくて、ちょっとだけ慣れている空気で、私はいつも仕事をしている。
ひとりだけの空間ではなく、会社のみんなと。
パソコンを立ち上げると同時に、通知がいくつも重なった。
社内チャット、メール、スケジュール更新。
息をつく暇もなく、一日が始まる。このたくさんの通知が、合図みたいになっている。
椅子に腰を下ろして画面を開くと、一番上に表示されていたスレッドのタイトルに、目が止まった。
『【至急】仕様追加の可否について』
スクロールする。
〈この機能、今月中に対応できませんか?先方から強めに要望が出ています〉
営業の書き込み。
その下に、すぐさま続く開発からの返信。
〈現行スケジュールでは難しいです。設計見直しが必要になります〉
予想通りの流れに、気が重くなってしまって小さく息を吐いた。
「穂村さん」
呼ばれて顔を上げると、営業の斉藤さんが立っている。
「さっきの件、見た?」
「はい、いま見ました」
「できれば、今月中に入れたいんだよねぇ」



