優奈は頬杖をついて、まだなにか面白そうに私を眺めている。
「よく分かんない人とは一緒に暮らせないよ、普通は」
すかさず反論する。
「あのね、寝室に鍵をつけるって話も出たんだよ」
「そこは男女だからね?」
「でも────」
「うん?」
言いかけて、思わず笑ってしまった。
「絶対入らないって。全財産賭けるんだって。約束してくれたから」
一瞬、優奈がきょとんとしたように間を置く。
そして、ぶはっと盛大に吹き出した。
「ねぇー!絶対あとで気になるやつじゃん!それ」
「ならないよ!」
反射的に否定したのに、フォークに巻いたパスタは、またするりとほどけて落ちた。
「いや、なるね」
即答されて、私は顔をしかめる。
「なんでよ」
「だって美月さ、“どうでもいい人”の話、そんな顔してしないもん」
その一言に、ぴたりと動きが止まってしまった。
どんな顔をしていたのかなんて、自分では分からない。
でも優奈は迷いなく言い切ったので、そう言いたくなるような顔をしていたのだろう。
「まあ、とりあえず」
とくるっとフォークを回して、優奈がようやくパスタを口に運びながら続けた。
「ほんとに危なそうだったら、ちゃんと逃げなよ。すぐ連絡していいからさ」
「……うん」
今度は、ちゃんとうなずけた。
少しだけ、肩の力が抜けていた。
他人事みたいに笑って、でも最後はちゃんと心配してくれる。
そういうところが、優奈らしい。
「で?」
彼女はパスタを頬張ったまま、まだ終わらないらしい追求が続く。
「顔は?かっこいいの?」
「いや、だから────、このくだり、何回やるの?」
私が冷静に返すと、優奈はお腹を抱えて笑っていた。
一緒になって笑ってしまった。
こうして会社での私は、まだ、流されているままだった。
••┈┈┈┈••
「よく分かんない人とは一緒に暮らせないよ、普通は」
すかさず反論する。
「あのね、寝室に鍵をつけるって話も出たんだよ」
「そこは男女だからね?」
「でも────」
「うん?」
言いかけて、思わず笑ってしまった。
「絶対入らないって。全財産賭けるんだって。約束してくれたから」
一瞬、優奈がきょとんとしたように間を置く。
そして、ぶはっと盛大に吹き出した。
「ねぇー!絶対あとで気になるやつじゃん!それ」
「ならないよ!」
反射的に否定したのに、フォークに巻いたパスタは、またするりとほどけて落ちた。
「いや、なるね」
即答されて、私は顔をしかめる。
「なんでよ」
「だって美月さ、“どうでもいい人”の話、そんな顔してしないもん」
その一言に、ぴたりと動きが止まってしまった。
どんな顔をしていたのかなんて、自分では分からない。
でも優奈は迷いなく言い切ったので、そう言いたくなるような顔をしていたのだろう。
「まあ、とりあえず」
とくるっとフォークを回して、優奈がようやくパスタを口に運びながら続けた。
「ほんとに危なそうだったら、ちゃんと逃げなよ。すぐ連絡していいからさ」
「……うん」
今度は、ちゃんとうなずけた。
少しだけ、肩の力が抜けていた。
他人事みたいに笑って、でも最後はちゃんと心配してくれる。
そういうところが、優奈らしい。
「で?」
彼女はパスタを頬張ったまま、まだ終わらないらしい追求が続く。
「顔は?かっこいいの?」
「いや、だから────、このくだり、何回やるの?」
私が冷静に返すと、優奈はお腹を抱えて笑っていた。
一緒になって笑ってしまった。
こうして会社での私は、まだ、流されているままだった。
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