あと30日で、他人に戻るふたり

「ねぇ、同居人はかっこいい?何歳くらい?」

優奈は身を乗り出して、たぶんあらぬ妄想まで始めてしまった。
私も逆の立場なら、ウキウキと聞いていたことだろう。

「いや」と首を振る。

「別に顔は…」

「何歳くらい?」

「免許証みたら、三つ上だった」

「免許証?」

どんな会話したのよ、と突っ込まれた。

「その人、ちゃんと仕事してる人なの?」

「うん。レイヤード・システムズのエンジニアだって」

「えー!大手じゃん」

「でもなんか、なんだろう。変な人なんだよね…」


言ってから、私は持ったままのフォークをお皿の上でくるくる回す。パスタが空回りしている。

優奈なんて、もうパスタには見向きもしていない。
ずーっと楽しそうに私を見ている。彼女こそまさに他人事だから、楽しんでいるわけだ。