ざわついていたオフィスが、しん、と静まるのが分かった。
たぶん、みんなこちらに注目している。
それが分かって、はっと我に返ったけれど、もう引っ込めることもできない。
それに、私からしてみれば死活問題だ。
「あ、例の部屋?昨日だったんだっけ、引っ越し」
「課長!昨日、私ちゃんと言いましたよ!半休いただきます、引っ越しです、って!」
「ごめんごめん」
あはは、と笑っている課長を、全身全霊で睨む。
さすがに私の怒りを感じ取ったのか、咳払いをひとつすると椅子に座り直す。
「……で、なんだっけ?」
「だから!知らない男がいたんです!部屋の前に!鍵も持ってたし!」
私の騒ぎっぷりとは真逆で、課長の反応は「そうなの?」と薄い。
「えぇ、あそこって一般にも出てたの?ダブり案件?」
「それですぅぅぅ……」
もう、最後の方は私は崩れかけていた。
「まさかレアなケースを穂村さんが引き当てるとは…」
一応、課長はパソコンでなにか検索してくれている。
回り込んだ私も食い気味にパソコンの画面を見つめるも、表示されているのは私の情報のみ。
「なんとかしてください!」
「まあ、管理会社に問い合わせはしてみるけど…」
「昨日、彼もしてくれたんですよ」
「なんて言ってた?」
そこで、私は無意識にひと呼吸置いてしまった。
また流されそうな気がして、つい答えるのが遅れる。
「……キャンセルすると、違約金発生するって」
たぶん、みんなこちらに注目している。
それが分かって、はっと我に返ったけれど、もう引っ込めることもできない。
それに、私からしてみれば死活問題だ。
「あ、例の部屋?昨日だったんだっけ、引っ越し」
「課長!昨日、私ちゃんと言いましたよ!半休いただきます、引っ越しです、って!」
「ごめんごめん」
あはは、と笑っている課長を、全身全霊で睨む。
さすがに私の怒りを感じ取ったのか、咳払いをひとつすると椅子に座り直す。
「……で、なんだっけ?」
「だから!知らない男がいたんです!部屋の前に!鍵も持ってたし!」
私の騒ぎっぷりとは真逆で、課長の反応は「そうなの?」と薄い。
「えぇ、あそこって一般にも出てたの?ダブり案件?」
「それですぅぅぅ……」
もう、最後の方は私は崩れかけていた。
「まさかレアなケースを穂村さんが引き当てるとは…」
一応、課長はパソコンでなにか検索してくれている。
回り込んだ私も食い気味にパソコンの画面を見つめるも、表示されているのは私の情報のみ。
「なんとかしてください!」
「まあ、管理会社に問い合わせはしてみるけど…」
「昨日、彼もしてくれたんですよ」
「なんて言ってた?」
そこで、私は無意識にひと呼吸置いてしまった。
また流されそうな気がして、つい答えるのが遅れる。
「……キャンセルすると、違約金発生するって」



