「おはよう、穂村」
「おはようございます」
「あっ、美月おっはよー!どうだった?引越し先」
「ちょっとランチの時にでも!」
「穂村さん、おはよう。朝からすごい顔だよ?」
「おはようございます!先に!行かせてください!」
会社に着くなり何人かに声をかけられたけれど、私は見向きもしなかった。
満員のエレベーターをかき分け、我先にとフロアへ降り立つ。向かう先は最初から決めている。
足早に向かったのは────野崎課長のデスク。
メタボまっしぐらのわがままボディをねじ込んだ椅子が、いつもの音で軋んでいた。
そんな課長は、おそらく誰かが淹れてくれたであろうコーヒーをすすりながら、呑気に他の社員と談笑している。
「課長っ!課長ーっ!!!」
半ば怒鳴りながら乗り込むと、野崎課長は目を丸くして振り返った。
「えっ、な、なに!朝っぱらから元気だな、穂村さんは」
「おはようございます」
「うん、おはよう」
「あの────」
言いかけて、一瞬迷う。
でももう今言わないと、全部流されそうで。
思い切って顔を上げた。
「引越し先の部屋に、知らない男がいたんですよ!!」
「おはようございます」
「あっ、美月おっはよー!どうだった?引越し先」
「ちょっとランチの時にでも!」
「穂村さん、おはよう。朝からすごい顔だよ?」
「おはようございます!先に!行かせてください!」
会社に着くなり何人かに声をかけられたけれど、私は見向きもしなかった。
満員のエレベーターをかき分け、我先にとフロアへ降り立つ。向かう先は最初から決めている。
足早に向かったのは────野崎課長のデスク。
メタボまっしぐらのわがままボディをねじ込んだ椅子が、いつもの音で軋んでいた。
そんな課長は、おそらく誰かが淹れてくれたであろうコーヒーをすすりながら、呑気に他の社員と談笑している。
「課長っ!課長ーっ!!!」
半ば怒鳴りながら乗り込むと、野崎課長は目を丸くして振り返った。
「えっ、な、なに!朝っぱらから元気だな、穂村さんは」
「おはようございます」
「うん、おはよう」
「あの────」
言いかけて、一瞬迷う。
でももう今言わないと、全部流されそうで。
思い切って顔を上げた。
「引越し先の部屋に、知らない男がいたんですよ!!」



