エレベーターが一階に着き、歩き出す。
その中でふと、彼が思い出したようにスピードを緩めた。
「…結婚してるってなると、俺たちの呼び方っておかしいのか?」
「え?」
「“穂村さん”は変か?…“美月”?」
前触れのない名前呼びに、心臓が変な音を立てる。
「い、いや!でも!まだ私たち会ったばっかなのに!」
「めんどくさいんだもん、噂とかされんの」
「だからって!」
「まあ、どうにかなるよ。外と家で呼び分けしてもいいし」
この人の適当さ、なんとかならないのか?
呼び分けってなんなの?初めて聞いたけど。
ぶつくさ心の中で悪口を言っていると、不意に聞こえた。
「じゃ、いってらっしゃい」
マンションを出たところで、彼にそうはっきりと言われた。
「俺、こっちだから。そっちは駅でしょ」
「……はい」
「じゃあね。夜、ソファ届くと思うから。先に帰ってたら対応してほしい」
「分かりました」
余韻が消えないのに、彼はさっさと行こうとする。
私は慌てて「あの!」と呼び止めた。
振り返る彼の顔は、不思議そうなものだった。
「…いってらっしゃい」
「うん。またね」
彼は軽快な足取りで行ってしまった。
なんだか、朝だけで心が追いついていかない。
同居ってこんなに大変で、こんなに疲れて、そして妙に胸がざわつくものなの?
私だけがその場に取り残されているみたいで、駅までの向かう中、やけに落ち着かなかった。
••┈┈┈┈••
その中でふと、彼が思い出したようにスピードを緩めた。
「…結婚してるってなると、俺たちの呼び方っておかしいのか?」
「え?」
「“穂村さん”は変か?…“美月”?」
前触れのない名前呼びに、心臓が変な音を立てる。
「い、いや!でも!まだ私たち会ったばっかなのに!」
「めんどくさいんだもん、噂とかされんの」
「だからって!」
「まあ、どうにかなるよ。外と家で呼び分けしてもいいし」
この人の適当さ、なんとかならないのか?
呼び分けってなんなの?初めて聞いたけど。
ぶつくさ心の中で悪口を言っていると、不意に聞こえた。
「じゃ、いってらっしゃい」
マンションを出たところで、彼にそうはっきりと言われた。
「俺、こっちだから。そっちは駅でしょ」
「……はい」
「じゃあね。夜、ソファ届くと思うから。先に帰ってたら対応してほしい」
「分かりました」
余韻が消えないのに、彼はさっさと行こうとする。
私は慌てて「あの!」と呼び止めた。
振り返る彼の顔は、不思議そうなものだった。
「…いってらっしゃい」
「うん。またね」
彼は軽快な足取りで行ってしまった。
なんだか、朝だけで心が追いついていかない。
同居ってこんなに大変で、こんなに疲れて、そして妙に胸がざわつくものなの?
私だけがその場に取り残されているみたいで、駅までの向かう中、やけに落ち着かなかった。
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