「新婚さんかしら?よろしくねぇ。お隣さんいっつもすぐ引っ越しちゃうから寂しくて。仲良くしてくださいね!」
女性はそう言って嬉しそうに笑うのだが、私はすぐさま反論しかける。
「いや!あの、私たちは」
「はい、どうぞよろしくお願いしますー」
先に遮ったのは、彼の方だった。
驚いて見上げるけれど、彼はこちらを見ない。
「えっ、ちょっ…」
「ではまた」
ぐいっと横から腕を引っ張られる。
思ったより強くて、一気に距離が縮まる。ついていくのに必死だ。
なにも言えないまま、女性が使ったままと思われるエレベーターに乗り込んだ。
『1』と『閉』を押した彼が、ふたりきりになったエレベーターの中で壁に背中をつけた。
呆れたような目で私を見下ろす。
「なんて言うつもりだったの?」
「私たちいつ結婚したんですか!」
「“同居してる”なんて言ってみ?あの手の女性はマンション中に言いふらすぞ」
「……マンション中に…」
ありえる。想像できてしまう。
言い返せない私に、彼はパネルに表示されている階数を眺めながら
「どうせ一ヶ月だけだし。気にすることないよ」
と、他人事のように言った。
「まあ、そう…なんですけど」
突然差し込まれた『結婚』というパワーワードに、私ひとりがついていけてない。
女性はそう言って嬉しそうに笑うのだが、私はすぐさま反論しかける。
「いや!あの、私たちは」
「はい、どうぞよろしくお願いしますー」
先に遮ったのは、彼の方だった。
驚いて見上げるけれど、彼はこちらを見ない。
「えっ、ちょっ…」
「ではまた」
ぐいっと横から腕を引っ張られる。
思ったより強くて、一気に距離が縮まる。ついていくのに必死だ。
なにも言えないまま、女性が使ったままと思われるエレベーターに乗り込んだ。
『1』と『閉』を押した彼が、ふたりきりになったエレベーターの中で壁に背中をつけた。
呆れたような目で私を見下ろす。
「なんて言うつもりだったの?」
「私たちいつ結婚したんですか!」
「“同居してる”なんて言ってみ?あの手の女性はマンション中に言いふらすぞ」
「……マンション中に…」
ありえる。想像できてしまう。
言い返せない私に、彼はパネルに表示されている階数を眺めながら
「どうせ一ヶ月だけだし。気にすることないよ」
と、他人事のように言った。
「まあ、そう…なんですけど」
突然差し込まれた『結婚』というパワーワードに、私ひとりがついていけてない。



