「あとキッチンカー導線なんだけど」
八代さんが資料を切り替えながら続ける。
「前回の穂村が出してくれた案がかなり良かったから、あれをベースで調整したい」
「はい、大丈夫です」
できるだけ淡々と返事をする。
向かい側に座っている竹中さんは、そんな私たちを見ながらコーヒーをひと口飲んでいた。
その視線の気配で察する。
……たぶん、この人は気づいている。
なにがあったのかまでは分からなくても、私が八代さんと少し距離を取ろうとしていることくらいは。
でも竹中さんは、なにも聞かない。
その代わりみたいに、資料を見ながら自然に話題を変えてくれる。
「そういえば穂村さん、昨日の休憩ベンチ案って具体的にイメージとかってあったりする?」
「あ、はい。できれば植栽の近くに置けたらなって思ってて」
タブレットの画面を切り替えて、竹中さんに向けてそれを渡す。
覗き込むようにして八代さんも画面を見ていた。
竹中さんは何度かうなずいて、「うん、いいね」と微笑む。
「小さい子いる人、あそこ絶対立ち止まるし」
「あと夏場は日陰ほしいですよね」
自分の言葉に、自分で少し驚く。
“こうした方がいい”ではなく、“こういう場所にしたい”。
そんなふうに話せたのは、もしかしたら初めてかもしれない。
「穂村さんってそういう“人がどう過ごすか”見るの、すごくうまいよね」
不意に竹中さんがそう言った。
「そうですか?」
思わず顔を上げると、竹中さんは資料を見たまま笑っている。
「開発側ってどうしても機能優先になるからさ。そこ気づけるの、普通に強みだと思う」
八代さんが資料を切り替えながら続ける。
「前回の穂村が出してくれた案がかなり良かったから、あれをベースで調整したい」
「はい、大丈夫です」
できるだけ淡々と返事をする。
向かい側に座っている竹中さんは、そんな私たちを見ながらコーヒーをひと口飲んでいた。
その視線の気配で察する。
……たぶん、この人は気づいている。
なにがあったのかまでは分からなくても、私が八代さんと少し距離を取ろうとしていることくらいは。
でも竹中さんは、なにも聞かない。
その代わりみたいに、資料を見ながら自然に話題を変えてくれる。
「そういえば穂村さん、昨日の休憩ベンチ案って具体的にイメージとかってあったりする?」
「あ、はい。できれば植栽の近くに置けたらなって思ってて」
タブレットの画面を切り替えて、竹中さんに向けてそれを渡す。
覗き込むようにして八代さんも画面を見ていた。
竹中さんは何度かうなずいて、「うん、いいね」と微笑む。
「小さい子いる人、あそこ絶対立ち止まるし」
「あと夏場は日陰ほしいですよね」
自分の言葉に、自分で少し驚く。
“こうした方がいい”ではなく、“こういう場所にしたい”。
そんなふうに話せたのは、もしかしたら初めてかもしれない。
「穂村さんってそういう“人がどう過ごすか”見るの、すごくうまいよね」
不意に竹中さんがそう言った。
「そうですか?」
思わず顔を上げると、竹中さんは資料を見たまま笑っている。
「開発側ってどうしても機能優先になるからさ。そこ気づけるの、普通に強みだと思う」



