今度は私が洗面所から半歩出た。
彼が顔を洗い出したので、パックをしたまま一度リビングに戻ると、すぐにダンボールが足に突っかかった。
あぁ、全然片付いていない。つらい。
ダンボールだらけのリビングを歩きながら、キッチンを見やる。
なんとなく、まだ使う気になれない。
昨日の夜にコンビニで買っておいたパンをもそもそ食べつつ、そのまま仕事へ行く荷物の確認をする。たぶん、忘れ物はないはず。
仕事用のバッグをリビングに置いたタイミングで、遠くの方から
「あっつ!」
という声が聞こえた。
急いで洗面所へ駆けつけると、流水で指を冷やす姿が見えた。
「大丈夫ですか?」
「これ、なに?めちゃくちゃ熱くてびっくりした」
ものすごく迷惑そうに、さっき私が電源をつけたヘアアイロンを指さしている。
思わず吹き出しそうになってしまった。
なるほど、この人は“女性の支度”を知らないのだ。
「毎朝、髪をアイロンしてるんで。覚えておいてください」
「アイロン?こんな熱いので?」
「じゃないと一日キープされないんです」
「…大変だな」
あんなにあちこち飛び跳ねていた彼の髪の毛は、どうやったのかちゃんとしていた。
蓋が空いたワックスがそのまま置いてあったので、「蓋は閉めてください」と注意するとめんどくさそうに閉めている。
「支度は終わりですか?私と交代してください」
「明日からはアイロンは遠くに置いてくんない?火傷しそう」
「検討します」
朝は、洗面所が戦場になりそうな予感がした。
そしてたぶん、この人との生活も。
••┈┈┈┈••
彼が顔を洗い出したので、パックをしたまま一度リビングに戻ると、すぐにダンボールが足に突っかかった。
あぁ、全然片付いていない。つらい。
ダンボールだらけのリビングを歩きながら、キッチンを見やる。
なんとなく、まだ使う気になれない。
昨日の夜にコンビニで買っておいたパンをもそもそ食べつつ、そのまま仕事へ行く荷物の確認をする。たぶん、忘れ物はないはず。
仕事用のバッグをリビングに置いたタイミングで、遠くの方から
「あっつ!」
という声が聞こえた。
急いで洗面所へ駆けつけると、流水で指を冷やす姿が見えた。
「大丈夫ですか?」
「これ、なに?めちゃくちゃ熱くてびっくりした」
ものすごく迷惑そうに、さっき私が電源をつけたヘアアイロンを指さしている。
思わず吹き出しそうになってしまった。
なるほど、この人は“女性の支度”を知らないのだ。
「毎朝、髪をアイロンしてるんで。覚えておいてください」
「アイロン?こんな熱いので?」
「じゃないと一日キープされないんです」
「…大変だな」
あんなにあちこち飛び跳ねていた彼の髪の毛は、どうやったのかちゃんとしていた。
蓋が空いたワックスがそのまま置いてあったので、「蓋は閉めてください」と注意するとめんどくさそうに閉めている。
「支度は終わりですか?私と交代してください」
「明日からはアイロンは遠くに置いてくんない?火傷しそう」
「検討します」
朝は、洗面所が戦場になりそうな予感がした。
そしてたぶん、この人との生活も。
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