「穂村、さっきの件どうなった?」
声をかけられて振り返ると、八代さんが微笑んで立っていた。
今日も彼はシワひとつないワイシャツを着て、すらりとしたシルエットで目を引く。
「あ、開発には投げたので返事待ちになります」
「オッケー、ありがと」
それだけ確認すると、すぐに「そういえばさ、」と思い出したように話題が変わる。
「この前の小金井のやつ、 途中から俺も入ったんだけど」
そう軽く言いながら、私のデスクに手をつく。
「だいたい形になりそうなんだよね」
「え!もうあれ決まったんですか!?」
思わず声が大きくなる。
この間は齋藤さんが対応していて、まだまだ詰めきれてない部分もあったはずなのに。
もうしばらくかかる案件だと思っていた。
私が驚いていると、彼はふっと鼻で笑ってはっきりとした口調でうなずく。
「うん。ちょっと整理して、開発側の懸念も潰せたし。先方にも説明通った」
まるで、最初から見えていた答えをなぞっただけみたいに。
「すごいですね……」
本当に自然と、そう思った。
迷いがなくて、判断が早くて。
こういう人が、仕事を進めるんだろうなと感じる。
「まあ、ね」
彼は少しだけ笑って、なんてことないように肩をすくめた。
「こういうのは、止めたままにしない方がいいからさ」
その言葉になにか胸に引っかかるものがあったけれど、今はそこじゃない。
「……あの、開発側の懸念っていうのは?」
気づいたら、もうひとつ気になる部分を口に出していた。
八代さんは一瞬だけこちらを見て、
「あぁ、そこ?通るようにしといた」
と、あっさり言う。
その軽さが、本当に“すごい”のか、“こなしているだけ”なのか。読めない。
でも、あのとき竹中さんが見せてくれた顔を思い出す。
簡単じゃなかったはずの部分。
しっかり考えて、事情も分かった上で提案してくれていたのに。
それでも、通したという八代さんが正しいのか。それとも、そうじゃないのか。
声をかけられて振り返ると、八代さんが微笑んで立っていた。
今日も彼はシワひとつないワイシャツを着て、すらりとしたシルエットで目を引く。
「あ、開発には投げたので返事待ちになります」
「オッケー、ありがと」
それだけ確認すると、すぐに「そういえばさ、」と思い出したように話題が変わる。
「この前の小金井のやつ、 途中から俺も入ったんだけど」
そう軽く言いながら、私のデスクに手をつく。
「だいたい形になりそうなんだよね」
「え!もうあれ決まったんですか!?」
思わず声が大きくなる。
この間は齋藤さんが対応していて、まだまだ詰めきれてない部分もあったはずなのに。
もうしばらくかかる案件だと思っていた。
私が驚いていると、彼はふっと鼻で笑ってはっきりとした口調でうなずく。
「うん。ちょっと整理して、開発側の懸念も潰せたし。先方にも説明通った」
まるで、最初から見えていた答えをなぞっただけみたいに。
「すごいですね……」
本当に自然と、そう思った。
迷いがなくて、判断が早くて。
こういう人が、仕事を進めるんだろうなと感じる。
「まあ、ね」
彼は少しだけ笑って、なんてことないように肩をすくめた。
「こういうのは、止めたままにしない方がいいからさ」
その言葉になにか胸に引っかかるものがあったけれど、今はそこじゃない。
「……あの、開発側の懸念っていうのは?」
気づいたら、もうひとつ気になる部分を口に出していた。
八代さんは一瞬だけこちらを見て、
「あぁ、そこ?通るようにしといた」
と、あっさり言う。
その軽さが、本当に“すごい”のか、“こなしているだけ”なのか。読めない。
でも、あのとき竹中さんが見せてくれた顔を思い出す。
簡単じゃなかったはずの部分。
しっかり考えて、事情も分かった上で提案してくれていたのに。
それでも、通したという八代さんが正しいのか。それとも、そうじゃないのか。



