キーボードに手を置いて、メッセージを打ち始める。
いつも通り、開発に共有するための内容。
ふと途中で指が止まった。
“営業から一部変更入ってます。確認次第、このまま進めていいですか”
いつもなら、何も考えずに送っている一文なのに、今日はそれが引っかかる。
進めていいですか、の最後の部分でカーソルが止まったままだ。
画面を見つめて、数秒だけ動けなかった。
「……なんか、違う気がする」
ぽつりと小さくつぶやいて、パソコンに向き直った。
それから、ゆっくりと一文を打ち直す。
“この仕様で問題ないか、一度すり合わせさせてください”
送信ボタンの上で、指が少しだけ迷った。
ここで迷って押せないなら、意味がない。
『送信』を、しっかり押した。
小さな音が鳴って、メッセージが飛んだ。
少ししてから、開発フロアの竹中さんから返信が来る。
『いいですよ。今なら席にいます』
……“今なら”。
立ち上がる理由としては、十分だった。
椅子を引く音が、いつもより少しだけ大きく聞こえる。
周りを気にしている自分に気づいて、それでも誰も見ていないことにちょっとだけ安心した。
開発フロアに足を踏み入れるのは、用事があればいつでもあることだ。
ただ、今日は少し空気が違って感じる。
その理由は、私の気持ちがいつもと違うからなのかもしれない。
「お疲れさまです、竹中さん。穂村です」
数名いる開発部のひとつの席に声をかけると、竹中さんが顔を上げた。
メガネをかけた、私よりひと回り年上のベテランさんだ。
「お、穂村さん。お疲れ」
「さっきの件で来てみました」
「早速!いいよ。やろう」
私が差し出した資料を、彼も一緒になって覗き込む。
「この仕様変更なんですけど、営業側からこういう要望が出ていて」
説明しながら、自分の言葉が少しだけ慎重になっているのが分かる。
「このまま進めても大丈夫か、一度確認させていただきたくて」
いつもなら、そのまま“投げるだけ”の内容。
でも今日は、自分で確かめたいと思った。
いつも通り、開発に共有するための内容。
ふと途中で指が止まった。
“営業から一部変更入ってます。確認次第、このまま進めていいですか”
いつもなら、何も考えずに送っている一文なのに、今日はそれが引っかかる。
進めていいですか、の最後の部分でカーソルが止まったままだ。
画面を見つめて、数秒だけ動けなかった。
「……なんか、違う気がする」
ぽつりと小さくつぶやいて、パソコンに向き直った。
それから、ゆっくりと一文を打ち直す。
“この仕様で問題ないか、一度すり合わせさせてください”
送信ボタンの上で、指が少しだけ迷った。
ここで迷って押せないなら、意味がない。
『送信』を、しっかり押した。
小さな音が鳴って、メッセージが飛んだ。
少ししてから、開発フロアの竹中さんから返信が来る。
『いいですよ。今なら席にいます』
……“今なら”。
立ち上がる理由としては、十分だった。
椅子を引く音が、いつもより少しだけ大きく聞こえる。
周りを気にしている自分に気づいて、それでも誰も見ていないことにちょっとだけ安心した。
開発フロアに足を踏み入れるのは、用事があればいつでもあることだ。
ただ、今日は少し空気が違って感じる。
その理由は、私の気持ちがいつもと違うからなのかもしれない。
「お疲れさまです、竹中さん。穂村です」
数名いる開発部のひとつの席に声をかけると、竹中さんが顔を上げた。
メガネをかけた、私よりひと回り年上のベテランさんだ。
「お、穂村さん。お疲れ」
「さっきの件で来てみました」
「早速!いいよ。やろう」
私が差し出した資料を、彼も一緒になって覗き込む。
「この仕様変更なんですけど、営業側からこういう要望が出ていて」
説明しながら、自分の言葉が少しだけ慎重になっているのが分かる。
「このまま進めても大丈夫か、一度確認させていただきたくて」
いつもなら、そのまま“投げるだけ”の内容。
でも今日は、自分で確かめたいと思った。



