店を出ると、夜の空気が少しだけひんやりしていた。
来たときよりも、私と彼の間に会話は少なかった。
でも、不思議と気まずくはない。
並んで歩く歩幅は、もう自然と合っている。
合わせようとしなくても、どちらともなく。
マンションまで戻ってきて、やっと帰ってきたな、と思う。
長い散歩だった。
オートロックの前で、足を止めた大地さんがふと口を開いた。
「……さっきの話。仕事の」
私もちょうどそのことを考えていたので、思わず「はい」と返事をしてしまう。
「別に、無理に変えなくてもいいと思う」
それだけ言って、一度言葉を切る。
「でも、変えたいなら変えればいいよ。美月がどうしたいかの話だから」
相変わらず、投げっぱなしみたいな言い方。
その言い方こそが、この人らしいと感じてしまって笑いがこぼれる。
「……はい」
それ以上の言葉は、出てこなかった。
部屋に入ると、いつもと同じ空気が広がる。
ソファも、テーブルも、見慣れたままなのに。
不思議だけど、今日のことが少しだけ残っている気がした。
着替えを済ませて、なんとなくソファに腰を下ろす。
隣では、大地さんがいつもみたいに寝転がってスマホを手に取っている。
通常運転は彼だけだ。
そんな彼の発した言葉だけで、私の心は気づかないうちに動かされている。
その事実が、出かける前とは少しだけ違う気がした。
来たときよりも、私と彼の間に会話は少なかった。
でも、不思議と気まずくはない。
並んで歩く歩幅は、もう自然と合っている。
合わせようとしなくても、どちらともなく。
マンションまで戻ってきて、やっと帰ってきたな、と思う。
長い散歩だった。
オートロックの前で、足を止めた大地さんがふと口を開いた。
「……さっきの話。仕事の」
私もちょうどそのことを考えていたので、思わず「はい」と返事をしてしまう。
「別に、無理に変えなくてもいいと思う」
それだけ言って、一度言葉を切る。
「でも、変えたいなら変えればいいよ。美月がどうしたいかの話だから」
相変わらず、投げっぱなしみたいな言い方。
その言い方こそが、この人らしいと感じてしまって笑いがこぼれる。
「……はい」
それ以上の言葉は、出てこなかった。
部屋に入ると、いつもと同じ空気が広がる。
ソファも、テーブルも、見慣れたままなのに。
不思議だけど、今日のことが少しだけ残っている気がした。
着替えを済ませて、なんとなくソファに腰を下ろす。
隣では、大地さんがいつもみたいに寝転がってスマホを手に取っている。
通常運転は彼だけだ。
そんな彼の発した言葉だけで、私の心は気づかないうちに動かされている。
その事実が、出かける前とは少しだけ違う気がした。



