それから私たちはというと。
とにかく何もないので、いったん彼が調べたマンションからすぐ近くにある定食屋へ来ていた。
数時間前に出会ったばかりの男と外食とか。
本当に信じられない。現実的じゃない。ありえない。
…けど、目の前に、いる。
「俺、生姜焼き定食にする。穂村さんは?」
ろくにメニューも見ないで、オススメと銘打たれている生姜焼きにすぐに決めるあたり、彼の性格がよく伺える。
私は、というと。
メニューを開いて悩みに悩んでいた。
周りのサラリーマンたちが食べている揚げ物も美味しそうだけど、焼き魚も捨てがたい。
「そんなに悩む?」
と、彼に驚かれるほど。
「当たり前じゃないですか、今日初めて来たんですよ?迷いますよ」
「なんで?好きなもの食べたらいいじゃん」
「優柔不断なんです!」
言い切ってから、なにか言いたげな彼に先に被せた。
「分かってます。非効率ですよね、そんなの分かってます」
「…俺、なんも言ってないのに」
「私が言わなきゃ言うくせに」
ふっ、と笑った気配がしたので顔を上げたけれど、彼はもう私の方は見ていなかった。
スマホに視線を落としている。
とにかく何もないので、いったん彼が調べたマンションからすぐ近くにある定食屋へ来ていた。
数時間前に出会ったばかりの男と外食とか。
本当に信じられない。現実的じゃない。ありえない。
…けど、目の前に、いる。
「俺、生姜焼き定食にする。穂村さんは?」
ろくにメニューも見ないで、オススメと銘打たれている生姜焼きにすぐに決めるあたり、彼の性格がよく伺える。
私は、というと。
メニューを開いて悩みに悩んでいた。
周りのサラリーマンたちが食べている揚げ物も美味しそうだけど、焼き魚も捨てがたい。
「そんなに悩む?」
と、彼に驚かれるほど。
「当たり前じゃないですか、今日初めて来たんですよ?迷いますよ」
「なんで?好きなもの食べたらいいじゃん」
「優柔不断なんです!」
言い切ってから、なにか言いたげな彼に先に被せた。
「分かってます。非効率ですよね、そんなの分かってます」
「…俺、なんも言ってないのに」
「私が言わなきゃ言うくせに」
ふっ、と笑った気配がしたので顔を上げたけれど、彼はもう私の方は見ていなかった。
スマホに視線を落としている。



