パソコンを立ち上げて、いつも通り仕事を始める。
昨日と何も変わっていないはずなのに。
どうしてか少しだけ、落ち着かなかった。
『ノー残業で行こう』
昨日送られてきた、八代さんからのメッセージ。
キーボードを打つ手が、止まる。
約束したのだから今夜の約束は、絶対に行くべきだ。
分かってるけれど、どこかその約束が重いものに感じてしまう。
八代さんのことは、ずっと憧れていた。
仕事ができて、人当たりも良くて。
そしてさりげなく気を遣えるところも。
彼のことを悪くいう人なんて、社内には絶対にいない。
そういう人と食事に行けるのは、普通なら嬉しいはずなのに。
少し前の私だったら、きっともっと心待ちにしていたはずだし、素直に楽しみにしていたはず。
自分の服を見下ろす。
なんというか、普通の服だ。
せっかくなんだからおしゃれしてきたってよかったのに、あまりにも無難な服。
……これでよかったのか、正解が分からない。
「穂村」
声をかけられて顔を上げると、八代さんが立っていた。
まさに考えていた人が目の前に現れて、内心ちょっと焦る。
「今日、定時で上がれそう?」
「はい、大丈夫そうです」
確証もないのに、すぐに返事をしてしまった。
今日が締め日の書類はないはずだし、明日の会議のためのデータも揃えてある。
なにも、抜かりはない。
午前中のうちに、やるべき作業はひと通り片付けた。
画面に向かっている間は、余計なことを考えずに済む。
それなのに、ふとした瞬間に思い出すのは、今夜のことだった。
••┈┈┈┈••
昨日と何も変わっていないはずなのに。
どうしてか少しだけ、落ち着かなかった。
『ノー残業で行こう』
昨日送られてきた、八代さんからのメッセージ。
キーボードを打つ手が、止まる。
約束したのだから今夜の約束は、絶対に行くべきだ。
分かってるけれど、どこかその約束が重いものに感じてしまう。
八代さんのことは、ずっと憧れていた。
仕事ができて、人当たりも良くて。
そしてさりげなく気を遣えるところも。
彼のことを悪くいう人なんて、社内には絶対にいない。
そういう人と食事に行けるのは、普通なら嬉しいはずなのに。
少し前の私だったら、きっともっと心待ちにしていたはずだし、素直に楽しみにしていたはず。
自分の服を見下ろす。
なんというか、普通の服だ。
せっかくなんだからおしゃれしてきたってよかったのに、あまりにも無難な服。
……これでよかったのか、正解が分からない。
「穂村」
声をかけられて顔を上げると、八代さんが立っていた。
まさに考えていた人が目の前に現れて、内心ちょっと焦る。
「今日、定時で上がれそう?」
「はい、大丈夫そうです」
確証もないのに、すぐに返事をしてしまった。
今日が締め日の書類はないはずだし、明日の会議のためのデータも揃えてある。
なにも、抜かりはない。
午前中のうちに、やるべき作業はひと通り片付けた。
画面に向かっている間は、余計なことを考えずに済む。
それなのに、ふとした瞬間に思い出すのは、今夜のことだった。
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