あと30日で、他人に戻るふたり

────そして、手始めに、まずは。

やることがある。


初対面の男と、自分の部屋で、生活ルールを決めることになるなんて。

普通に考えれば、おかしい。
でも、普通じゃないことはもう十分に分かっている。

だったら、せめて“ちゃんとする”しかない。


「じゃあ、生活ルール決めましょう」

「え。必要?」

いるに決まってるでしょ!!!

心の中で叫びながら、私はぐっとこらえた。
この人に感情でぶつかっても、たぶん全部スルーされる。

だったら、こっちが整えるしかない。


「必要です」

短く言い切ると、彼は眉を寄せて少しだけ首をかしげた。
全然、納得してない顔をしている。

いや、納得しなくていいから聞いて。


「まず、生活リズムなんですけど」

「不規則」


早い。いや、早いって。
一瞬で終わらせないでほしい。


「…ちなみに、どのくらい不規則ですか?」

一応、聞いてみる。一応。

「日による」

出た。
この人の“日による”、これたぶん、信用ならない。

というか、何も分からないのと同じだ。