「パスタ、ラップしておいて」
振り返りもしないままそう言って玄関で靴を履く彼に、なんて声をかけるか迷ってから絞り出す。
「傘、私の使ってください」
急いでいたはずの彼の動きが、一瞬止まる。
そして玄関の端に掛けているネイビーの傘に視線が移った。
「あの…、すみませんが、花柄です……」
言ってから、激しく後悔した。
ふっと空気が緩む気配がする。
彼が笑っていた。
「ありがとう。借りるね」
さっと傘を手にして、ドアを開けた。
「行ってきます」
「……いってらっしゃい」
ドアが閉まったと同時に、また広い部屋に私ひとりになった。
髪、まだ濡れてたな、とか。
お腹空いたって言ってたのに、とか。
考えようとしたけれど、うまくまとまらない。
キッチンにひとり、ゆっくりとうずくまった。
さっきまで、ここにいたのに。
振り返りもしないままそう言って玄関で靴を履く彼に、なんて声をかけるか迷ってから絞り出す。
「傘、私の使ってください」
急いでいたはずの彼の動きが、一瞬止まる。
そして玄関の端に掛けているネイビーの傘に視線が移った。
「あの…、すみませんが、花柄です……」
言ってから、激しく後悔した。
ふっと空気が緩む気配がする。
彼が笑っていた。
「ありがとう。借りるね」
さっと傘を手にして、ドアを開けた。
「行ってきます」
「……いってらっしゃい」
ドアが閉まったと同時に、また広い部屋に私ひとりになった。
髪、まだ濡れてたな、とか。
お腹空いたって言ってたのに、とか。
考えようとしたけれど、うまくまとまらない。
キッチンにひとり、ゆっくりとうずくまった。
さっきまで、ここにいたのに。



