あと30日で、他人に戻るふたり

目が覚めた時、リビングから物音が聞こえた。


まだ少し眠いまま扉を開けると、キッチンに立っている背中が目に入る。


「……おはようございます」

「おはよ」


振り向きもしないまま返ってきた声が、妙にいつも通りで。

それだけで、なんとなく安心してしまう自分がいる。


キッチンから声が飛んできた。

「コーヒー飲む?」

「あ、はい。ありがとうございます」


スウェット姿のまま、二人でソファに座って温かいコーヒーを飲む。

なんて優雅な朝。

隣で食パンを取り出してそのまま食べているのを横目に、私はリモコンを手にしてテレビをつけた。


『今日は夕方から傘が必要になりそうです。折り畳み傘などを持ち歩くといいかもしれません』

テレビからお天気情報が流れてきて、ふとベランダの向こうにある綺麗な青空に目をやる。