朝のバタつきが嘘みたいに、オフィスはいつも通りの空気だった。
パソコンを立ち上げて、メールとチャットを確認する。 週明けはどうしてもタスクが多い。
資料を開いて作業に集中しようとしたところで、背後から声がかかった。
「穂村、おはよう」
振り返ると、八代さんが立っていた。
相変わらずいつ見ても彼は整っている。当然だけど、彼の乱れた姿なんて見たことがない。
「あ、おはようございます」
「ちょっといい?」
そう言って、彼は私のデスクの横に軽く寄りかかる。
距離が近い、と思ったけれど、仕事の話だろうと気にしないようにした。
「例の件、どうなってる?」
「あ、はい。今まとめてるところです」
「見せてもらっていい?」
言われるがままに画面を少し横にずらすと、彼は自然な動きでこちらに身を寄せてきた。
モニターを見るため、という理由は分かる。
分かるけれど。
胸の奥が、いつもと違うざわめきを持つ。
「……もうちょい寄っていい?」
確認を取っているようで、もうほとんど距離は変わらない。
「大丈夫です」
そう答えると、彼は「ありがと」と軽く笑った。
画面を指差しながら、いくつか修正点を指摘される。 的確だし、無駄がない。
ちゃんと優しくて、ちゃんと分かりやすくて、ちゃんと目を合わせてくれる。
ちゃんとしていることに、少し前は安心さえ感じていたのに。
パソコンを立ち上げて、メールとチャットを確認する。 週明けはどうしてもタスクが多い。
資料を開いて作業に集中しようとしたところで、背後から声がかかった。
「穂村、おはよう」
振り返ると、八代さんが立っていた。
相変わらずいつ見ても彼は整っている。当然だけど、彼の乱れた姿なんて見たことがない。
「あ、おはようございます」
「ちょっといい?」
そう言って、彼は私のデスクの横に軽く寄りかかる。
距離が近い、と思ったけれど、仕事の話だろうと気にしないようにした。
「例の件、どうなってる?」
「あ、はい。今まとめてるところです」
「見せてもらっていい?」
言われるがままに画面を少し横にずらすと、彼は自然な動きでこちらに身を寄せてきた。
モニターを見るため、という理由は分かる。
分かるけれど。
胸の奥が、いつもと違うざわめきを持つ。
「……もうちょい寄っていい?」
確認を取っているようで、もうほとんど距離は変わらない。
「大丈夫です」
そう答えると、彼は「ありがと」と軽く笑った。
画面を指差しながら、いくつか修正点を指摘される。 的確だし、無駄がない。
ちゃんと優しくて、ちゃんと分かりやすくて、ちゃんと目を合わせてくれる。
ちゃんとしていることに、少し前は安心さえ感じていたのに。



