あと30日で、他人に戻るふたり

噛み合わなすぎて、私はローテーブルを持ち出してヤツと私の間にドン!と置いた。

そして向こう側を指さす。

「まず。座ってください。相談しましょう!」

「それ、非効率じゃない?めんどくさい…」

「大事なことですよ!」

強く言わないと、彼は言うことを聞いてくれない。


仕方なさそうにローテーブルの向こうにやっと座った彼を見て、私もようやく腰を下ろした。

座った瞬間、どっと疲れが降ってくる。
でも、今は疲れたとか言ってる状況ではない。



ローテーブルの上に、紙とペンを置いた。

なぜか分からないけど、会議みたいな形になっている。

いや、分かってる。
こうでもしないと、この人と話が成立しない。


「お互いの意思確認をしましょう」

私がそう言うと、彼は視線だけこちらへ向けてうなずいた。

「俺は、一ヶ月だけ住みたい。それで終わりだから。今やってる仕事の案件がここから近いのが一番の理由。それと、会社も歩いて五分」

「ごっ、五分?」

羨ましい!と言いそうになり、ぐっと堪える。

「お仕事は、なにを?」

「エンジニア」

「会社名をお願いします」

「レイヤード・システムズ」

「えっ、知ってる…」

聞いたことがある、わりと有名な会社名を出してきたのでびっくりしてしまった。

切れ長の目が、私を測るように見る。

「そっちは?なんでここに?」